新たな蓄電池活用で電力小売業が変革する時代へ
新たな電力小売メニューの誕生
株式会社Sassorは、東京都渋谷区に本社を置く企業で、最近、蓄電池を活用した新たな電力小売メニューの設計を支援するための「小売電気事業者向け蓄電池活用コンサルティングサービス」を開始しました。このサービスは、太陽光発電や再生可能エネルギーの利用促進を背景に、企業や自治体が蓄電池を導入する流れの中で、その価値を最大限に引き出すために設計されています。
背景と市場のニーズ
近年、脱炭素化の取り組みや業務継続計画(BCP)の強化が求められる中で、多くの企業や自治体が蓄電池の導入を進めています。特に再生可能エネルギーを利用した自家消費の推進と、それによるCO₂排出量の削減は重要なポイントとなっています。また、停電時にはバックアップ電源として機能するため、この需要は増加しています。しかし、蓄電池を導入することで、小売電気事業者はデマンド料金の収入減少や、PV(太陽光発電)による販売電力量の減少といった課題に直面しています。
新サービスの特長
Sassorの新たなサービスは、AIを利用した「ENES」プラットフォームを中核に、蓄電池の活用による経済性分析を行います。具体的には、以下の3つのフェーズに分かれています。
1. 現状診断:料金制度や調達コスト構造、需要家の特性を分析し、課題を明確にします。これにより、課題整理レポートを提供。
2. ビジネスモデル設計:小売主導のスキームや収益分配方式を複数案で設計し、収益モデル比較表として提示。
3. 経済性シミュレーション:ENESを用いたシミュレーションにより、さまざまなシナリオに基づくIRR(内部収益率)や回収年数を試算します。
これにより、蓄電池による経済的なメリットや、電気事業者と需用家両方の期待に応えるモデルが目指されます。
期待される効果
この新たなサービスにより、小売電気事業者は調達コストの削減や、容量市場、需給調整市場からの追加収益を期待できます。また、蓄電池のリースや販売などのメニューで顧客基盤を拡大するチャンスも生まれます。
一方、需要家にとっては、従来の電気料金メニューよりもコストが低い新しいプランを選べるようになるほか、ピークカットによる収益分配が可能となります。さらに、停電時のバックアップ電源としてのBCP対策や、自家消費型PVとの組み合わせによる電力コストの削減も実現できます。こうして、社会全体の観点からも再生可能エネルギーの普及と脱炭素化が進むことが期待されています。
今後の展望
Sassorは今後、サービスの導入支援に加え、得られるフィードバックを反映しながら、ENESプラットフォームの分析精度を向上させていく方針です。また、API連携や他リソースとの統合制御、さらには脱炭素価値取引へも対応することで、蓄電池を中心としたエコシステムの拡大を目指しています。これにより、持続的な電力小売ビジネスの価値創出に貢献する考えです。
会社概要
株式会社Sassorは、2010年に設立され、エネルギーリソースの分析と制御に特化した技術を持っています。同社は、電力アグリゲーションサービスENESを展開しており、電力情報サイト「グリッド研究所」を通じてさまざまなデータ提供も行っています。持続可能な社会の実現に向け、再生可能エネルギーの普及支援に尽力しています。さらに、蓄電池を活用したビジネスモデルの確立により、エネルギー産業全体の変革を促進することを目指しています。
会社情報
- 会社名
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株式会社Sassor
- 住所
- 東京都目黒区上目黒2丁目10-4
- 電話番号
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03-6804-1916