新時代の工作機械開発 小型マシニングセンタ「SCB-1」の全貌
エンジニアリングと技術革新の最前線で、ベッコフオートメーション、駿河精機、コアコンセプト・テクノロジーの三社が共同で開発した小型マシニングセンタ「SCB-1」。この新しい工作機械は、従来のCNC制御の限界を乗り越え、リアルタイムモニタリングと自作制御処理、そしてAIを駆使した最先端の加工作業を実現しています。
「SCB-1」の特徴
従来のCNC工作機械では、制御情報をリアルタイムで取得することが困難でしたが、今回の開発では、ベッコフオートメーションの「TwinCAT CNC」を採用することで、これが可能となりました。これにより、自作の制御処理やAIモジュールの組み込みが行え、制御情報やセンサ信号をリアルタイムで監視できるようになりました。
特に注目すべきは、慶応義塾大学の柿沼康弘准教授のアドバイスを受けて実現した「センサレス切削力計測」です。このシステムは、サーボ制御情報を基に切削力を推定することで、加工精度を高めます。切削工具が毎分2万回転し、7.5度の回転ごとにタイムスタンプを付けて情報を記録するという驚異的な速さでリアルタイムモニタリングを行います。
展示会でのデモンストレーション
「SCB-1」は、展示会「JIMTOF2018」にてデモンストレーションが行われます。機械に搭載された振動センサが加工ワークに異常が起きた際にAIモジュールが判定し、機械を自動停止させる機能が初公開されます。この迅速な制御フィードバックは62.5マイクロ秒という短時間で実現可能です。
開発者たちのビジョン
各社の開発責任者たちは、このプロジェクトに対する高い期待を寄せています。駿河精機の深沢事業部長は、IoT化によって製造プロセスをより効率的に改善できると述べています。コアコンセプト・テクノロジーの田口CTOは、最新のデジタル技術によって製造業における生産性向上を目指していると強調しました。さらに、慶応義塾大学の柿沼准教授は、実装までの迅速さに満足感を示し、この成果が他の研究にどのように活かされるかを期待しています。
ベッコフオートメーションの川野社長は、オープンイノベーションによって、ユーザからのフィードバックを得ることで真に必要な機械を提供できる時代が来ると確信しています。彼の言葉にあるように、産官学のコラボレーションは未来の製造業を切り拓く鍵といえます。
工作機械の未来へ
「SCB-1」は、従来のブラックボックス化されたCNCからの脱却を目指し、誰もが正確な情報を把握できる「オープン化」のモデルケースです。JIMTOF2018では、この革新的な技術がどのように製造業に変革をもたらすのか、ぜひその目で確認してください。
展示概要
- - 名称: JIMTOF2018 第29回日本国際工作機械見本市
- - 期間: 2018年11月1日(木)~11月6日(火)
- - 会場: 東京ビッグサイト(東京国際展示場)
- - 小間番号: 東5ホール E5035
ワークショップのご案内
- - タイトル: 工作機械のIoTと知能化を実現するソフトウェアCNC
- - 概要: SCB-1によるIoTと知能化の進化について
- - 日時: 11月2日(金)15:00~16:00
- - 費用: 無料
「SCB-1」は、これからの工作機械の新たなスタンダードとなることでしょう。この技術の推進により、未来の工業界はより進化した姿を見せていくと信じています。僕たちの目の前に広がるこの未来を、共に体験していきましょう。