アドバンテックの新たな挑戦
アドバンテック株式会社(東京・台東区)は、2025年10月29日に、次世代AI推論システム「MIC-735」を正式に発表しました。このシステムは、NVIDIA® IGX Thor™を搭載し、エンタープライズ用途に特化しています。アドバンテックは、NVIDIAとの連携を強化し、ロボティクスや医療分野でのフィジカルAI(物理的AI)の導入を加速することを目指しています。
MIC-735の革新性
「MIC-735」は、NVIDIA® Holoscanプラットフォームとの統合により、リアルタイムでのデータ通信を実現します。このシステムは、カメラやセンサ、AIモデルを接続する「ニューロハブ」として機能し、極めて低い遅延で信頼性の高いAI推論を行えることが特徴です。また、0℃から60℃の幅広い温度範囲で運用可能という堅牢な設計が施されています。
特に重視される分野
「MIC-735」は、産業用ロボットや自律走行搬送ロボット(AMR)、医療分野の内視鏡や手術用可視化システムなど、多岐にわたる応用が見込まれています。センサとアクチュエータ間でのリアルタイム通信を可能にすることで、各種機器の自律動作を安全にサポートします。さらに、MIPIインターフェイスを採用しているため、多くの画像センサとの接続がシームレスに行えます。
次世代ロボティクスのエコシステム
アドバンテックは、同社の「MIC-742-AT」エッジAIシステムを通じてロボティクスエコシステムを拡張しています。このシステムもNVIDIA® Jetson T5000モジュールを搭載し、複数のカメラからのデータを迅速に処理できるデザインとなっています。これにより、ロボットのナビゲーションや物体認識が一層強化され、業界内での競争力が高まります。
技術的な特徴
- - 最大TFLOPS: 「MIC-735」は最大2070 TFLOPS(FP4)に対応し、高い計算能力を有します。
- - 通信インターフェース: QSFP 4×25GbEや5Gbイーサネットに対応し、データの迅速な送受信を実現。
- - 機能安全: 安全設計を考慮したMCUモジュールが搭載されており、重要なシステムの安全性を支えています。
- - 環境に優しい設計: 幅広い動作温度範囲を支持し、様々な条件下で安定した稼働を実現します。
未来を見据えて
アドバンテックは、40年以上にわたり産業向けコンピューティングを支えてきた企業であり、現在ではIoTとAIの融合を通じて新たな可能性を切り開いています。2024年には3000以上のIoT機器を展開し、世界の26か国に拠点を設置。これからも「Enable an Intelligent Planet」というビジョンのもと、社会課題の解決に向け邁進していきます。
まとめ
「MIC-735」の登場により、ロボティクスや医療分野におけるAI推論技術は新たな局面を迎えることになります。12月には、日本でも初公開予定の国際ロボット展やSEMICON Japanで、この革新的な技術の実力が披露されることでしょう。アドバンテックの挑戦は続き、私たちの生活に新たな価値をもたらすことが期待されています。