企業における副業・兼業制度の現状と今後の展望について

大企業における副業・兼業制度の現状と今後の展望

株式会社みらいワークスが行った調査によると、大企業の副業・兼業制度は現在、多様な状況にあります。調査は2025年に実施され、500名の人事・労務担当者を対象に行われました。この調査結果は企業がどのようにこれらの制度を適用しているか、また今後の動向を分析する貴重な素材となっています。

調査の要点

調査からは、正社員に対して副業・兼業を「禁止」としている企業が44.8％である一方、「認めている」企業が55.2％を占めていることがわかりました。更に、現時点で禁止をしている企業の約18.8％が新たに制度を整備中で、今後副業・兼業を解禁する企業が増える可能性が高いとされます。

このことから、副業・兼業は単なる選択肢の一つではなく、今後の働き方において重要な要素として考慮され始めていることが示されています。

外部人材の受け入れ意向

興味深い点は、副業または兼業を認めている企業の約72.8％が、他社の従業員を副業・兼業人材として受け入れている点です。一方、自社の正社員の副業を禁止している企業でも49.6％が外部人材を受け入れていることから、制度を柔軟に運用していることがうかがえます。このデータは、企業が新たな人材活用の可能性を探っている証です。

社内規程の整備状況

副業・兼業に関する社内規程はおおむね整備されていることが確認されました。調査結果によれば、50.0％の企業が就業規則に副業・兼業のルールを含めており、さらに19.6％が通達・ガイドラインでこれに関する方針を示しています。特に、禁止している企業では71.0％が明文化していることから、リスクマネジメントが優先されていると考えられます。

禁止の理由と解禁の動機

副業を禁止する理由として最も多かったのは「社内業務への支障」で、次いで「労務管理が困難」との意見が目立ちました。ただし許可している企業においては、「自律的なキャリア形成」や「多様な働き方の実現」が重要な理由として挙げられており、社員のキャリア志向を支援する姿勢が感じられます。

課題と対策

副業・兼業制度を運用する上での課題には、情報セキュリティや健康管理が含まれます。約40.6％の企業が情報セキュリティの確保を最優先課題として挙げ、過半数がうまく運用するためにセキュリティ研修を実施しています。健康管理についても、定期的な健康相談を行い従業員のメンタルヘルスを意識する企業が増加しています。

まとめ

2027年度以降には、全ての従業員が副業・兼業を行うことができる社会にすることが、政府から提言されています。企業はこれに備え、副業・兼業の取り扱いについてのルールを整備し、従業員の自律性を促進する必要があります。今後、副業・兼業が企業内のリスキリングを推進する重要な要素となりうるため、各企業はこの変化に柔軟に対応し、積極的に取り込んでいくことが求められます。軽視されていたこれらの施策が、企業の持続可能な成長を支える鍵となるでしょう。