障がい者雇用における自己肯定感の影響と向上のための要素とは
株式会社EiUと株式会社ゼネラルパートナーズ「障がい者総合研究所」は、働く障がい者の自己肯定感に関する調査を行い、その結果を報告しました。この調査の目的は、自己肯定感が障がい者の仕事に対する満足度や能力の発揮の度合い、さらにはコミュニティへの所属やロールモデルの存在が自己肯定感に与える影響を明らかにすることです。
調査の概要
調査は2024年6月18日から6月25の間にインターネットで行われ、有効回答者数は130名です。対象者は障がい者総合研究所のアンケートモニターであり、調査結果は以下の3つのポイントに要約されます。
1. 働く障がい者の自己肯定感を高めることは、雇用の質を向上させる。
2. 質の高い障がい者コミュニティへの所属は自己肯定感を高める。
3. ロールモデルの存在は自己肯定感を向上させる。
調査結果の詳細
1. 自己肯定感と仕事満足度
調査において、「自分の価値や能力を信じ、自分自身を肯定的に評価していますか?」という設問に対する自己肯定感の評価が、仕事の満足度にどのように関連しているかを分析しました。結果として、自己肯定感が高いと感じる回答者ほど、仕事への満足度も高い傾向が見られました。
2. 自己肯定感と能力発揮度
同様に、仕事を通じて自分の能力を発揮できていると感じているかどうかも調査しました。自己肯定感が高い回答者が能力発揮度においても高得点を示し、自己評価が自己の能力感に直結していることが確認されました。
3. 障がい者コミュニティの所属と自己肯定感
本調査では障がい者コミュニティへの所属についても触れました。コミュニティに所属していると答えた回答者は全体の27%で、特に自己肯定感の向上に役立つコミュニティに所属している人はその中で25%にとどまりました。この結果から、質の高いコミュニティが障がい者の自己肯定感向上に寄与する可能性が示唆されています。
4. ロールモデルの存在と自己肯定感
さらに、自分と同じ障害を持つロールモデルやメンターの存在についての質問も行われました。その結果、ロールモデルの存在が自己肯定感を高めることが示されています。ロールモデルがいる回答者は、いない回答者に比べ自己肯定感の値が高くなる傾向がありました。
5. 自己肯定感とその他の要素
自己肯定感には障がい受容度や人間関係満足度も関連していることが分かりました。自己肯定感が高いほど、障がいの受容度や職場での人間関係にも満足していることが多い結果が得られました。
結論と今後の課題
本調査の結果は、働く障がい者の自己肯定感が高まることで、仕事満足度や能力発揮度が向上することを示しています。このため、障がい者雇用の質を向上させるためには、自己肯定感に焦点を当てた取り組みが重要です。
特に質の高い障がい者コミュニティへの所属やロールモデルの獲得が効果的であることが確認されていますが、これらの機会が障がい者全体には広く提供されていないことも明らかになりました。今後は、外部リソースを生かした支援や質の高いコミュニティの提供に注力していく必要があります。
障がい者の雇用において、量から質への移行が求められる中、自己肯定感を高める環境の整備が重要であると考えます。