『歌うクジラ』登場
2010-07-21 15:36:26

村上龍の最新長編小説『歌うクジラ』が電子書籍として登場

村上龍の最新作『歌うクジラ』がiPadで発売



村上龍氏が新しく発表した長編小説『歌うクジラ』は、iPad向けの電子書籍アプリとしてリリースされた。価格は1,500円(税込)。これは彼の作品が紙の書籍よりもあらかじめ電子の形で提供される試みであり、今後他のデバイスへの展開も計画されている。この新作では、未来社会を舞台にした物語が展開され、村上氏自身がその独自の視点を存分に活かしている。

村上氏は1952年に長崎県で生まれ、1976年に「限りなく透明に近いブルー」で群像新人賞と芥川賞を受賞。以降、「コインロッカー・ベイビーズ」「愛と幻想のファシズム」「トパーズ」など、多くの名作を世に送り出してきた。今回の『歌うクジラ』は、彼の豊かな創作活動の最新の成果である。

ストーリーの舞台と設定



『歌うクジラ』は、22世紀初頭という未来の世界を背景にしている。この物語は、2022年のクリスマスイブにハワイ沖で発見されたザトウクジラに始まる。驚くべきことに、そのクジラの年齢は1400年を超えていた。細胞解析を通して不老不死に関連する遺伝子が特定され、「歌うクジラ」と呼ばれるこの遺伝子が人類に新たな可能性をもたらす。

物語の主人公であるアキラは、社会の最下層区域「新出島」から脱出を試み、重要な情報を持つ父の遺志を継ぐための旅に出る。彼の目的は、その情報を最上層施設の人物に届けることだ。アキラの旅は、単軌鉄道や飛行自動車など、様々な未来の乗り物を駆使して展開され、多種多様なキャラクターと出会いながら進んでいく。

音楽とビジュアルの新しい試み



電子書籍としての形式に特化した本作では、村上氏は音楽と画像を組み合わせることに挑戦した。特に坂本龍一氏が制作したオリジナル楽曲4曲が、この小説の特長の一つとなっている。音楽は物語の進行に合わせて、特定のシーンで流れるように工夫されており、読者はページをめくるごとに新しい音楽の体験を得ることができる。

また、表紙や扉絵にはアニメーションが用いられ、CGは電子書籍だからこそ表現できる迫力と美しさを持っている。これらの要素は作品の世界観を深めるだけでなく、読者に鮮烈な印象を与える。村上氏は、音楽とビジュアルを小説の表現を損なうことなく、むしろそれを引き立てる形で取り入れることを心掛けている。

電子書籍元年の意義



村上氏は、電子書籍の市場に関して多くの予測を話しているものの、やはり紙書籍の必要性は残ると考えている。しかし、電子書籍によって作家と読者の距離が縮まることは間違いなく、作品の質も向上することが求められる。新たな表現方法としての電子書籍への挑戦は、今後の文学界において重要なテーマとなりそうだ。

まとめ



羽ばたく未来を描いた『歌うクジラ』は、村上龍氏の新しい文学の形を体現する作品である。また、iPadでの電子書籍リリースを通じて、読者に新しい文学体験を提供している。本作を通じて、村上氏が創造する未来社会や人間ドラマにぜひ触れてみてほしい。

会社情報

会社名
株式会社グリオ
住所
上祖師谷6-24-22
電話番号
090-7199-7384

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