自動運転技術の社会実装に向け、注目の動きが加速している。自動運転の民主化をビジョンに掲げるティアフォーは、日本交通との協業を発表した。2024年7月より、ティアフォーが開発したデータ記録システム(DRS)を搭載した車両を用い、共同でデータ収集を開始。大規模な共有データ基盤を構築することで、自動運転AI開発の加速を目指していく。
ティアフォーは、自動運転AI開発のスケールアップを目的とした「Co-MLOps」プロジェクトを推進。2023年より世界8地域でデータ収集を進めてきた。これまで、首都高速道路や東名高速道路など主要地域でのデータ収集や、DRSの動作検証、Co-MLOpsプラットフォームの機能検証を実施。今回の日本交通との協業により、データ収集をさらに本格化させる。
ティアフォーが開発したDRSは、高性能車載LiDARや高解像度車載カメラなどを搭載し、車両周囲360度や挙動に関するデータを高精度に記録するシステム。センサー間や電子制御コンピューター間の同期・キャリブレーションを行い、自動運転AI開発に必要な高品質なデータ収集を実現する。
収集されたデータは、Co-MLOpsプラットフォームにアップロード。品質確認や共有のための匿名化、検索のためのタグ付けなどの処理がクラウド上で自動で行われる。さらに、アクティブ・ラーニング基盤による評価に基づき、AI性能向上に有効なデータに対して優先的にアノテーションが行われる。これにより、自動運転AI開発に必要なMLOpsを効率的に推進できるようになる。
ティアフォー代表取締役社長CEO兼CTO加藤真平氏は、「本協業で収集するデータは、自動運転AIの精度向上に大きく貢献する。ロボットタクシーの社会実装やソフトウェア定義型自動車(SDV)の量産に向けた活動を加速させていきます。世界各地のパートナー企業との連携により、大規模な共有データ基盤構築を加速させ、自動運転技術の進展を牽引していきます」とコメントしている。
日本交通取締役川鍋一朗氏は、「ティアフォー様と一緒に『移動の未来』を構築できることを大変光栄に思います。日本交通が96年にわたる運行ノウハウを惜しみなく提供し、自動運転の安全性向上および社会実装に寄与していきます。これは次の世代への貢献であり、社会に徳を残せる存在になりたいと願う日本交通の考え方とも合致しています。自動運転技術の進展はハイヤー・タクシーの進化につながり、より安全で質の高い『移動インフラ』が実現できるものと期待しています」とコメントしている。
2024年は、日本交通の車両5台を用いて、主に東京都内でのデータ収集を推進。2024年末までに、20万フレーム以上のアノテーション済みデータセットの構築を目指す。2025年以降は、車両台数を20台以上に拡大し、より広範囲で豊富な種類のデータセットの構築を進める。
ティアフォーは、世界初のオープンソースの自動運転ソフトウェア「Autoware」の開発を主導。自動運転システムの社会実装を推進するディープテック企業だ。Autowareを活用したソフトウェアプラットフォームを自社製品として提供し、市場のニーズに対応したソリューションを展開している。Autowareが生み出すエコシステムを通じて、世界各地のパートナーと協力し、自動運転システムの可能性を拡大し、より良い社会の実現を目指している。