AI技術でPETボトルのリサイクル革新を目指す共同研究の挑戦
AI技術で進化するPETボトルリサイクル
昨今、環境問題が深刻な課題として浮上しています。その中で、プラスチックのリサイクル技術は大きな注目を集めています。今回は、アサヒグループ、SyntheticGestalt、東京科学大学の三者が共同で取り組む、AI技術を活用した新たなPETボトル分解技術に関する共同研究についてご紹介します。
共同研究の背景
アサヒグループホールディングスの独立研究子会社、アサヒクオリティーアンドイノベーションズ(AQI)は、SyntheticGestalt、東京科学大学と力を合わせ、2024年下期からAI技術を利用した「バイオリサイクル」に関する研究を始めます。この研究は、環境負荷やコストの低減を目指しており、従来のリサイクル方法と比べて持続可能なアプローチを提案します。
バイオリサイクルの概要
今回開発される「バイオリサイクル」は、PETボトルを中間原料に戻し、新たなPET樹脂を生成する手法です。従来の化学的な分解工程を酵素によって置き換えることで、反応温度を大幅に下げることが可能となります。これにより、常温・常圧の条件でリサイクルを実施でき、今までの手法が抱えるさまざまな課題を解決する可能性が広がります。特に、PET素材の効率的な分解を実現する新規PETase(PETプラスチックの分解酵素)を早期に発見することが目標です。
各社の役割
本プロジェクトには、AQIが独立研究を行い、事業会社からの知見を活用する役割を担っています。SyntheticGestaltは、AI技術を駆使し、新しいPETaseの発見に貢献します。また、東京科学大学では、分子進化工学の専門性を生かしながら、実験・評価を主に担当しています。この三者の連携により、理論的な基盤と先端技術を融合させた革新が期待されています。
環境への貢献
アサヒグループは2040年までにCO2排出量のネットゼロを目指す「アサヒカーボンゼロ」を設定しており、2030年にはPETボトルを100%リサイクル素材に切り替えるという大きな目標を掲げています。今回の研究は、これらの目標に向けた重要な一歩となります。特に、SyntheticGestaltは新たなMHETaseやPETaseの発見に成功しており、AI技術を用いて遺伝子ライブラリーから効率的に新しい酵素を探索しています。
今後の展望
新たな酵素の候補が既に10種類発見されており、さらなる実験によってその分解機能が確認されています。今後は、東京科学大学の研究チームがこれらの候補をより検証し、選定と改良を進めることで、実用化に向けた革新的な成果を上げることが期待されています。この取り組みを通じて、2026年までに実証プラントの運用が可能なPETaseの開発を目指しています。
まとめ
新しいリサイクル技術に向けた試みが進む中、環境への負荷が少ないPETボトルリサイクルの実現が期待されています。AI技術と生物由来の酵素を組み合わせることで、持続的な社会の構築に寄与する新たな道が切り開かれることを願っています。
会社情報
- 会社名
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アサヒグループホールディングス株式会社
- 住所
- 東京都墨田区吾妻橋1-23-1
- 電話番号
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