LGBTQ当事者における物件探しの問題
近年、多様性が求められる中で、LGBTQ当事者の物件探しに関する実態調査が行われました。この調査は、株式会社MEMOCOとゼロリノベが協力して実施し、125名のLGBTQ当事者を対象に、生活に関するアンケートを通じて集めたものです。以下に、調査の結果や、当事者が直面している現実についてを詳しく見ていきます。
調査概要
調査は2025年3月17日から4月14日の期間に行われ、インターネットを通じて125名からの回答を得ました。回答者は男性が約37%、女性が約58%を占め、20代から50代以上まで幅広い年代の人々が参加しました。年代の分布は、20代が約29%、30代が約34%と最も多く、続いて40代が約23%、50代が約13%、60代以上がわずか1%という結果でした。
物件探しの工夫と実態
物件探しにおける工夫を聞いたところ、約14%の回答者が「工夫している」と答えましたが、86%は特に何もしていないことがわかりました。具体的な工夫の内容としては、LGBTQ当事者を受け入れてくれる不動産会社を探す、理解のある業者や知人を介して探す、または友人との同居という形で物件を探すなどの実践が見られました。
中には、非営利団体と連携してサポートを受ける人もおり、物件取得に向けた努力がうかがえます。LGBTQの当事者がどのように物件を探しているのかは、依然として道のりの長さを示しています。
不動産担当者への開示
次に、不動産の担当者に自分がLGBTQであることを伝えているかどうかを尋ねたところ、話していると答えたのはわずか15%でした。この数字は、LGBTQであることをオープンにすることへの恐れや、過去のトラブルの影響が背景にあると考えられます。実際、話さずに契約しようとしてトラブルが発生した事例も報告されています。
同棲する物件の選定
パートナーと同棲を考える際に断られたことがあるかという問いに対して、約19%の人が「ある」と答えました。具体的なエピソードの中には、同性カップルであることでアパートの契約を拒否された事例が含まれています。これは、日本の不動産市場において同性カップルへの偏見が残っていることを示唆しています。
ファミリー向けの物件が友人同士の名目で契約できないことや、同性カップルに対するオーナーの偏見が影響しているケースも多く見受けられます。このような状況は、物件探しにおけるLGBTQ当事者の難しさを浮き彫りにしています。
まとめ
調査の結果、LGBTQ当事者の物件探しは依然として多くの課題を抱えていることが明らかになりました。約15%の人がLGBTQであることを不動産会社に話しており、偏見や不安からオープンになれない状況が見受けられました。しかしながら、最近の社会情勢や制度の変化により、LGBTQカップル向けのサービスも徐々に充実してきています。例えば、パートナーシップ制度を導入している自治体も増えており、これにより住宅取得においてのハードルも少しずつ下がっているのが現状です。
今後は、LGBTQ当事者が安心して住まいを見つけられるような環境が整うことが望まれます。この調査が、当事者の皆さんにとって役立つ情報となれば幸いです。