三井住友カードの新たな「ジョブ型人事制度」
三井住友カード株式会社が、2025年10月より新たに「ジョブ型人事制度」を導入することを発表しました。この制度は、特に特定分野における専門人材を対象にしており、従来のメンバーシップ型からの大きな転換を意味しています。
進化する人事制度の背景
同社は2021年に年功序列を廃止し、従来の人事制度を抜本的に見直しました。既にジョブ型の要素を取り入れていた中で、今回はより専門性の高い人材を育成し、採用するための制度を整えることを決定しました。これは、会社の中長期的なビジョンである「お客さまに選ばれ、決済をあらゆるシーンで支える”デジタル”& “イノベーション”カンパニー」を実現するために必要なステップです。
ジョブ型人事制度の主要なポイント
専門スキルの発揮の場を提供
新制度では、各ジョブに求められるスキルレベルや成果を評価する仕組みが整っています。このため、専門分野に専心できる環境が提供され、ジョブの変更を伴う異動は行われません。その結果、専門スキルの発揮と伸長が期待できます。
労働市場価値に基づいた処遇
従来の日本型人事制度とは異なり、労働流動性を重視しています。各ジョブに応じた市場価値を反映した処遇が設定されることで、社員が持つスキルの市場価値に応じた評価が可能になります。また、退職金や年金制度が適用されないため、社員は自らのキャリアに対する責任を自覚しながら働くことが求められます。
成果に応じた魅力的な処遇
成果が直接評価されることから、賞与は成果に基づいて大きな変動幅を持つように設定されます。定期昇給は原則として行われず、スキルの向上や組織のニーズを考慮した役割期待の変更により昇給が行われるため、社員は常に高い結果を求められることになります。
今後の展望
三井住友カードは、この「ジョブ型人事制度」を通じて、特にデジタル領域における専門性の高い人材の採用を強化し、会社のビジョン実現に向けた体制を一層強化する方針です。2025年には、ベトナムの大学でAIやデータサイエンスを専攻した新卒者を採用する予定もあるなど、グローバルな視点での人材確保にも力を入れていく考えです。
このように三井住友カードは、変革するビジネス環境に対応した新たな人事制度を導入することで、競争力を高め、ノルウェーやフィンランドなどの先進国に負けない人材育成を目指しています。