越前鯖江が目指す日本一の産業観光地域とその未来の展望

越前鯖江、福井県に位置するこの地方は、独自の産業文化を持つ地域として知られています。近年、産業観光を核にした地域振興を目指して一般社団法人SOE（ソエ）が設立されました。SOEは、持続可能な産業観光を推進し、観光コンテンツの充実を図ることで、越前鯖江を日本一の産業観光地域にしようとしています。

会社設立の背景

SOEの設立は、RENEW実行委員会がきっかけとなっています。この委員会は、小規模なものづくりイベントとして始まり、その後、年に一度の産業観光イベント「RENEW」を展開することで、地域の活性化に貢献してきました。RENEWは、全国で最大規模のオープンファクトリーイベントに成長し、産業観光だけでなく、雇用創出や地域教育、通年の観光推進に寄与する多くのプログラムを展開しています。

越前鯖江周辺には、越前漆器や越前和紙、越前打刃物など、7つの地場産業が集積しています。この地の特性を生かし、2024年には北陸新幹線の延伸も控えており、観光業のポテンシャルは大いに期待されています。しかし、その一方で、職人の高齢化や土日の観光ツアーの不足といった課題も抱えています。そこで、SOEは新たな挑戦を始めたのです。

SOEの取り組み

一般社団法人SOEは、「支え合う産業」をテーマに、以下の5つの事業を展開する予定です。

1. 通年型の産業観光推進
地域の事業者と連携し、ものづくりの体験やツアーを企画・運営します。観光客がいつ訪れても楽しめる産業観光を提供し、地域の魅力を引き出します。

2. 宿泊施設の運営
工芸体験ができる宿泊施設をオープンする予定です。地域の事業者が宿主となり、クラフトツーリズムの魅力を発信します。改装された空き家を利用し、観光客に特別な体験を提供します。

3. 各種スクールの運営
SOEでは、ものづくりを学ぶための各種スクールを開校予定です。職人やデザイナー志望の人々に知識と技術を提供し、地域の人材育成を目指します。

4. イベント事業
既存のRENEWイベントを引き続き運営し、地域の工房や企業を開放する場を提供します。ものづくりに触れる機会を多くの人々に届けます。

5. 産業観光メディアの運営
趣旨を理解し、多くの人に越前鯖江の魅力を伝えるためのメディアを立ち上げます。地域文化の発信や観光コンテンツの予約プラットフォームも整備する予定です。

代表理事のコメント

一般社団法人SOEの代表理事、内田徹氏は、「新たな1ページが開こうとしています」とコメントしています。これまでのRENEWは年に一度のイベントでしたが、これからは通年で産業観光を推進することで、地域の持続可能な発展を目指していると話します。

「ものづくりを見せる観光コンテンツを提供したい。」と語る内田氏の言葉に、越前鯖江の未来への期待が込められています。彼はこの地域がこれからも長く続いていくよう、次世代にバトンを渡せるよう努力する意志を表明しました。