AIが変えるITエンジニアのキャリア
ITエンジニアのキャリアと、生成AIの今後の影響に焦点を当てた意識調査が2025年に実施されました。この調査では、609名のITエンジニアに対し、AIの業務代替やそれに伴うキャリア課題について尋ねました。
1. 調査の背景
昨今、生成AIをはじめとする人工知能の技術革新が加速し、業務効率化がさまざまな分野で進行しています。特にITエンジニアはその影響を受けやすい職種であり、AIを駆使することで新たなチャンスを得る一方、仕事が変わったり不要とされる懸念を抱いています。
今調査では、これらの変化に対してエンジニアたちがどのように感じているのかを探ることを目的としました。
2. 生成AIによる業務代替は「4年以内」と予想
調査の結果、35.2%のエンジニアが業務の50%以上がAIによって代替されるのは「4年以内」と回答しました。これは、多くのエンジニアが変化の兆しを実感していることを示しています。
さらに、12%は「すでに始まっている」と感じており、生成AIの迅速な普及が進行していることを伺わせます。
一方、「分からない」と回答したエンジニアが21.5%おり、AIの進展スピードに対する疑念が色濃く残っています。業務内容による影響差や、個別の対応が必要とされる時代に突入していることも強調されるべき点です。
3. 現在のAI利用状況
エンジニアたちの生成AIの業務活用状況を見ると、39.2%が「まったく使っていない」と回答しており、32.4%が「参考程度に使っている」としています。
逆に、「21〜40%程度」を利用していると回答した層が16.1%、41%以上の活用状況を示す層も12.3%存在し、AI技術の実用化は確実に進んでいるものの、活用が限定的である現状が浮かび上がります。
4. エンジニアのキャリア課題
キャリア形成において、エンジニアが最も感じる課題は「自分の市場価値が分からない」と、その変化に対する不安が同率で14%を占めています。これは、技術者自身が自分の立ち位置を的確に把握することが難しいことを示唆しています。
他にも、「特に課題を感じていない」と答えたのは30.5%にとどまるなど、多くのエンジニアが何らかの不安を抱えています。スキルの多様化や働き方の選択肢が広がっている中で、根本的な自己理解が求められる時代が到来しています。
5. まとめ
本調査を通じて、AIの進化によりITエンジニアのキャリア意識が揺らぎ始めていることが明らかとなりました。多くのエンジニアがAIによる業務代替についての不安を抱えながらも、実際にはまだその技術をフルに活用できていないギャップが存在しています。今後のキャリア形成において、彼らは如何に自己の価値を見極め、変化のスピードに適応するかが問われています。
変化は始まっていますが、その進行速度や影響の大きさには個人差があります。エンジニアが自らのキャリアの未来を見直し、進化する環境にどう適応していくかが今後の鍵となるでしょう。
代表取締役 内田 裕希のコメント
「今回の調査結果からは、生成AIの進展を背景に、ITエンジニアのキャリア意識が大きく揺らぎ始めている実態が見えてきました。私たちValue marketは、こうした時代において必要なのは、単なるスキルのマッチングではなく、『個」と『社会』の間に橋をかける支援であると考えています。」