KPMGジャパンが発表した「日本の企業報告に関する調査2025」の概要
KPMGジャパン(東京都千代田区)は、「日本の企業報告に関する調査2025」を発表しました。この調査は統合報告書を中心に、日本企業の報告書の動向を探るもので、12回目の実施となります。今回の調査は特に「統合思考」に焦点を当て、その実践がどのように企業の活動に影響を与えているかを分析しました。これにより、企業がどのように持続可能な成長を目指しているかを明らかにしています。
調査の主要なテーマ
調査は、「統合思考がどのように企業報告書に反映されているか」を主眼に進められました。そのため、IFRS財団が提唱する「統合思考の原則」に基づいた調査項目が新たに設定されました。また、気候変動や社会的インパクトの可視化といったテーマについても引き続き注目が集まっています。これにより、統合報告書が企業の責任をどのように捉え、報告しているかが探求されています。
調査対象と内容
本調査では、TOPIX100に含まれる企業が発行した統合報告書や、日経平均株価の構成企業が発行した報告書を中心に、合計1,225社の報告書が対象となりました。調査は、統合報告書の深さや質を評価し、説得力のある報告書の特徴を分析しています。
主な調査結果
1.
パーパス(存在意義)の進化
調査によると、企業の94%がパーパスを掲げているものの、経営者がその内容を積極的に語るケースは59%にとどまりました。企業が掲げる価値創造ストーリーが、どのように実際の戦略に結びついているかを共有することが、持続的な成長には不可欠であるとされています。
2.
リスクの言及と外部影響の評価
自社のビジネスが外部環境に与える影響を記載している企業は19%しかなく、多くの企業がマイナスの影響に触れない傾向にあります。このことは、企業報告における重要なリスクと機会が十分に開示されていない実態が浮き彫りにされています。
3.
資本の重要性
調査結果では、79%の企業が自社の資本について報告し、64%は非財務資本にも言及していることが分かりました。さらに、資本を競争優位性の源泉と捉え、その活用戦略を示す企業も69%に上ります。これは、企業が長期的な視点を持ち、戦略的に資本を活用していることを表しています。
KPMGからの提言
KPMGは、この調査を通じて、持続可能な価値創造に向けた企業報告書の重要性を再認識し、企業固有の独自性や長期戦略を反映した報告を行うことの重要性を強調しています。説得力のある報告書は、経営の透明性を高め、信頼性を構築する要素となるのです。そのため、企業は単なる成果の列挙にとどまらず、持続的な成長を目指す明確なストーリーを示すことが求められています。
結論
KPMGジャパンが発表した「日本の企業報告に関する調査2025」は、企業の報告内容が今後どのように進化していくべきかを考察する貴重な資料となっています。企業が持続可能性を重視する中で、統合思考を実践し、価値創造を実現していくための方策が問われています。これからの企業報告がさらなる透明性を持ち、意義ある情報が提供されることを期待します。