サムスンのAI技術「Galaxy AI」と「Bixby」の日本語開発の舞台裏に迫る
先日、サムスン電子ジャパンが開催した特別インタビュー取材会では、同社の日本語によるAI技術「Galaxy AI」と「Bixby」について、サムスン日本研究所の赤迫貴行氏がその開発の裏側を語りました。このリポートでは、その内容を詳しくお伝えします。
サムスン日本研究所が手掛けるAI開発
サムスン日本研究所は、かつてはハードウェア開発に重きを置いていましたが、2023年に初のソフトウェア開発チームを設立。これにより、2024年3月に発売予定の「Samsung Galaxy S24シリーズ」に搭載されるGalaxy AIが、日本語対応を果たすこととなりました。さらに、2025年2月には日本語版Bixbyも登場する予定です。
Galaxy AIの構造
Galaxy AIは、通信なしで動作する「オンデバイスAI」と、クラウドを活用する「クラウドベースAI」のハイブリッド型です。開発チームが日本語に特化した言語開発を進めてきた結果、外部の通信を介さず、ユーザーのプライバシーを保護する形でのAI機能が実現しました。
特に興味深いのは、Galaxy AIが外国語から日本語への翻訳を行う際の3段階のアプローチです。音声を認識、中から訳し、合成音声で出力するプロセスが確立されています。このように、日本語特有の言語的課題を克服するために開発されているのです。
開発拠点の移行とスピード向上
これまでGalaxy AIの音声認識エンジンは中国の研究所で開発されていましたが、2024年4月からは日本での開発に切り替わります。この変更により、日本語に精通したエンジニアが多数参加し、言語特有の問題の早期発見が可能になるなど、開発スピードの向上が期待されています。
日本語特有の開発難易度
日本語は同音異義語や文脈による解釈の難しさなど、多くの言語的な課題を抱えています。たとえば、「橋」と「箸」は同じ音でも意味が異なります。また、特定の表現や人名の呼び方も文脈によって判断が難しいため、これらを克服するための技術革新が求められます。
Bixbyの開発背景
2023年11月に始まったBixbyプロジェクトは、タスク実行を最優先にしたAIアシスタントの開発です。Bixbyは音声認識や言語理解、タスク実行を経て、ユーザーの意図に適った結果を提供するために作られています。このAIエージェントは、Samsungの各種アプリケーションとの連携も強化しています。
特に、Bixbyの開発チームは、ユーザーによる指示を簡潔に処理できる点を強みとしています。これにより、Samsung Galaxyデバイスの機能をスムーズに使用できるメリットがあります。
今後の展望
サムスンは高品質で使いやすい日本語AIの開発を通じて、Galaxyユーザーの満足度を向上させることを目指しています。赤迫氏は、ユーザーにとっての便利さを追求し、新機能の導入を継続していく意向を示しました。これにより、AI技術が生活の一部としてさらに普及し、新たな価値を提供することが期待されています。
まとめ
本インタビューを通じて、サムスンのAI技術がどのように進化しているのか、また日本語開発の苦労や工夫に触れることができました。今後の展開に大いに期待したいところです。