ダイソンアワード2024 日本国内最優秀賞に輝いた東京大学の「WhisperMask」
毎年恒例のダイソン国際デザイン・エンジニアリングアワード(James Dyson Award、JDA)の2024年度の国内最優秀賞に、東京大学大学院の平城裕隆氏による「WhisperMask」が選ばれました。この作品は、騒音が多い環境でも自分の声をクリアに届けるためのノイズキャンセリングマイクです。
「WhisperMask」とは?
このノイズキャンセリングマイクは、コロナウイルスの影響でマスクが普及する中で、オンライン授業やリモート会議が増えることに伴う声の伝わりにくさを解消するために考案されました。周囲の騒音が多い環境でも、マスクを着用した状態で自分の声だけを相手に届けることができる点が、このデバイスの大きな特徴です。
「WhisperMask」は感知用の布型振動板を採用しており、一般的なノイズキャンセリング技術と異なり、ソフトウェアではなく物理的な構成でノイズを除去します。これにより、自分の声を遅延なくクリアに伝えることが可能です。
受賞の背景と今後の展望
平城氏は受賞に際し、「初めてのアワード応募で、この作品が完成した後に応募を決定し、最優秀賞を受けられたことに大変嬉しさと驚きを感じています。今後は更なる改良を進め、布型マイクの特性を活かして汎用性を向上させていく予定です」と意気込みを述べています。表彰式では、賞金5000ポンド(約87万円)の授与が決まっており、今後の研究活動への期待が高まっています。
準優秀賞の受賞作品
このアワードでは、準優秀賞も二つ発表されました。
1.
Milkease Wearable Pump(武蔵野美術大学): 自然な外観を持ち、職場での搾乳を快適に行えるコンパクトな搾乳器。特に長期間母乳育児を続けるために、職場での搾乳環境を改善することを目指しています。
2.
ARALA -Additive Robotic Attachment for Lab Automation-(東北大学): 手軽にカスタマイズできる効果的な研究自動化システムで、ロボットアームに取り付けられるエンドパーツを用いて、研究者の作業効率を大幅に向上させます。
グローバルな視野を持つアワード
ダイソンアワードは、これまでに世界30か国以上から1,900以上の応募があり、多彩な課題解決のアイデアが集まる国際的なコンペティションです。今年も、国内の優れたアイデアに対して、さらに国際的な審査が行われます。これにより、さらなる革新と研究の進展が期待されています。
選考結果は10月16日にTOP20が発表され、11月13日には国際最優秀賞の結果が公表される予定です。今回は、各国から厳選された作品群が一堂に会し、その中から再び新たな「未来の発明」が生まれることを楽しみにしています。最新の情報は、JDAの公式サイトやSNSで随時更新されます。
まとめ
東京大学の「WhisperMask」の成功は、社会のニーズに対する敏感な感受性と高い技術力の結晶です。今後もこのような革新的なアイデアに注目し、未来社会をより良いものにするための取り組みが続くことを願っています。