医療機器製造の自動化を革新するXPlanarの活用事例
米国のAutomation NTH社は、ライフサイエンス分野での医療機器組立にベッコフオートメーションの磁気浮遊式搬送システム「XPlanar」を導入し、従来の手作業中心の作業を大きく効率化しました。これにより、設置面積が従来の10分の1に縮小され、処理時間も5分からわずか5秒へと劇的に短縮されました。
XPlanar導入の背景とメリット
従来の医療機器の組立作業では、多くが手作業で行われており、効率性や柔軟性に欠けていました。しかし、NTH社の営業部長ピーター・サーヴェイ氏によれば、医療機器の多様性と将来の変化に対応するためには、自動化機器のカスタマイズと、それを支えるソフトウェアの重要性が高まっています。NTH社は、XPlanarを使った診断機器の自動組立機を開発し、柔軟性と拡張性を兼ね備えた新しいシステムを実現しました。
XPlanarは、6自由度で動作できる可動子を使用し、さまざまな動作を非接触で高精度に制御することができます。これにより、50種類の試薬に対応した自動分注装置を搭載し、異なる機器ごとに分注位置を調整することができます。サーヴェイ氏は、「製品自体を動かす発想が、XPlanar導入の大きなポイントでした。」と強調しています。
組立工程の新しい流れ
この新しい組立機では、オペレータが特定の機器を取り出すと、その後はロボットがXPlanar可動子に機器を搭載し、360度回転による画像検査を行います。各機器は、レシピに基づいて分注ステーションで処理され、試薬の高精度な充填が実現されます。充填後は、再度画像検査が行われ、正確な品質を保証します。完成品はオペレータのステーションに搬送され、安全性も実現されています。
成果と効率化
XPlanarの導入により、以下のような成果が挙げられます:
- - 設置面積が従来比1/10に削減され、コストの削減に直結
- - 処理時間が5分から5秒に短縮され、スループットが60倍向上
- - 高い再現性とトレーサビリティを実現し、試薬品質が安定
特に、クリーンルーム環境では小型化が大きなメリットとなり、効率的な作業環境が構築されています。
統合制御技術の支え
新しい組立機の制御は、ベッコフの制御盤格納型産業用サーバC6670が担当しています。このサーバは、Intel® Xeon®テクノロジに基づいた高性能で、XPlanarの管理と周辺機器の統合制御を可能にしています。また、TwinCATソフトウェアにより、直感的な操作でシステムの設定が可能となり、高速かつ安全な稼働環境が実現されています。
医療機器製造の未来
今回のAutomation NTH社とベッコフの取り組みは、従来の固定観念を覆す新たなプロセスを提示しました。手作業で行われた医療機器の組立を、自動化と高精度な制御技術によって再構築することで、作業効率を大幅に向上させ、品質安定化を図りました。
これからも、ライフサイエンス分野における自動化技術は進化し続け、さらなる製造プロセスの革新が期待されます。NTH社とベッコフの協働は、医療機器製造に新しい可能性をもたらし、未来の市場に柔軟に対応する力を提供しています。