TISとQuantum Meshが提携、AI基盤事業で液浸冷却技術導入へ

TISとQuantum Meshの提携による新たなAI基盤サービスの展開

2025年10月、TIS株式会社とQuantum Mesh株式会社がAI基盤サービスの開発に向けた協業を開始することが発表されました。この取り組みは、両社の強みを組み合わせることで、急増するAI需要に対応し、データセンターにおける冷却システムの効率化を図るものです。具体的には、Quantum Meshが開発した液浸冷却システム「KAMUI」を使用し、AIモデルの構築や業務ニーズに応じた新しいサービスを提供することが目指されています。

背景

昨今、企業におけるAI利用は急速に広がっており、業務の効率化や新規事業の創出が期待されています。そのため、高性能なGPUサーバーの需要は年々高まり、データセンターの市場は急成長を遂げる見込みです。しかし、AIの処理に伴う環境負荷や電力コストの上昇が課題となっています。その解決策として、液浸冷却システムは、従来の冷却方式よりもはるかに効率的であり、データセンターの運用コスト削減にも寄与します。

TISは東京都心に最新鋭の「東京第4データセンター」を保有し、豊富な運用実績を誇っています。一方、Quantum Meshは分散型エッジデータセンターの開発を行うスタートアップ企業であり、高度なセキュリティと計算能力を提供しています。この2社の協業により、両社の技術力が融合し、新しいAI基盤サービスが実現することが期待されています。

協業の概要

この協業においては、以下の取り組みが進められる予定です：

- TISおよびQuantum Meshのデータセンターを活用した新サービスの共同開発
- 分散型エッジデータセンターの保守・運用の共同実施
- 自社データを活用したサービスの展開
- 液浸冷却システム「KAMUI」の販売と共同開発
- セキュアデータ基盤の構築と提供

特に2025年11月からは、液浸冷却システムを実際に導入した企業と共同で、サービスの運用や検証を6ヶ月間にわたって実施します。そして、それを基に本格的な新サービスの開発へと進む予定です。

液浸冷却技術「KAMUI」

Quantum Meshが開発した「KAMUI」は、サーバーを冷却液に浸し、発生する熱を効率的に吸収する仕組みを持っています。このシステムは、地下水と熱交換を行い、常に安定した温度でサーバーを冷却します。運用に必要な電力は従来の冷却方法の1/10以下に抑えられており、データセンター全体の効率性も世界基準で高い水準にあります。