フルヤ金属と旭化成による新たな取り組みの始まり
株式会社フルヤ金属と旭化成株式会社は、Nobian Industrial Chemicals B.V.およびMastermelt Ltdと連携し、食塩電解用セルとその内部に使われる電極の金属リサイクルに関する実証を開始することを発表しました。このプロジェクトの目的は、希少金属を効果的に再利用し、クロールアルカリ業界における持続可能なエコシステムの構築を図ることです。
食塩電解セルと希少金属の重要性
食塩電解プロセスでは、イリジウムやルテニウムといった希少金属が欠かせません。これらの金属は、耐熱性や耐薬品性に優れており、エレクトロニクスや半導体、さらにグリーンエネルギーなど、多岐にわたる産業に利用されています。フルヤ金属は、40年以上にわたってこれらの金属の調達からリサイクル技術までを手がけており、現在では世界的なシェアを誇っています。
リサイクルプロセスの概要
この新しいリサイクルプロジェクトでは、旭化成が耐用年数を迎えた電極を回収し、次にMastermeltとフルヤ金属が連携して触媒の剥離とその後の加工を行います。このプロセスを通じて、貴金属を抽出・高純度化し、再利用可能な形にします。その後、旭化成がこの貴金属を用いてリサイクル触媒電極を製造します。
この新たに作られた電極を使用して、Nobianが食塩電解プロセスを行うことで、苛性ソーダと塩素の製造における資源の循環利用が実現されます。
クロールアルカリ業界の未来への貢献
フルヤ金属は、希少金属の安定供給とリサイクルの効率化を目指し、この取り組みを通じてクロールアルカリ業界の持続可能な発展にも寄与したいと考えています。イリジウムやルテニウムの需要が高まる中、リサイクルを通じた効率的な利用が急務となっています。
また、旭化成のイオン交換膜法食塩電解プロセスは、省エネルギー性に優れ、CO2排出量の削減にも貢献しています。1975年からの50年にわたる実績を持つ旭化成は、30か国以上の160工場でこのプロセスを採用しており、顧客からの信頼も厚いです。
デジタル社会とグリーン社会への貢献
フルヤ金属は今後も、イリジウムやルテニウムの効率的な供給を続けることで、デジタル社会やグリーン社会の発展にも寄与していく考えです。使用済みのセル・電極からの金属回収・再利用プロセスの確立は、未来の持続可能な製造業の一翼を担うものと期待されています。
この取り組みは、単なる金属リサイクルにとどまらず、環境への配慮を含む持続可能な社会の形成に向けた重要なステップと言えるでしょう。