「聞き取り困難症LiD」を考えるホロニクス公開講座
医療法人医誠会が1月17日に開催した第198回ホロニクス公開医学講座には、多くの関心が寄せられました。本講座では、最近メディアでも話題になっている「聞き取り困難症(LiD)」について詳しく解説されました。特に、講師である阪本浩一医師(医誠会国際総合病院・耳鼻咽喉科診療副院長)が、この新たな症状に関する知識を分かりやすく提供しました。
聞き取り困難症(LiD)とは?
「聞き取り困難症」とは、静かな環境では通常に音が聞こえるのに、騒音の中や複数の人が話す場面では言葉として理解できない状態を指します。この状態は年齢に関係なく、子どもから大人まで幅広い世代で見られます。具体的な症状としては、「同時に話す人が多い場面で会話についていけない」「電話の声が聞き取りづらい」といった例があります。通常の聴力検査では問題がないとされることが多いですが、実際には声を言葉として理解する力が衰えていることがあるのです。
LiDの診断と背景
講座では、LiDの診断方法やその背景についても詳しく語られました。聴力の問題がなくても、音声を言葉として認識する脳の働きが影響していることが判明しており、難聴とは異なる原因があるとされています。遺伝的な要因や脳の機能に着目することが重要で、さまざまな視点からこの問題にアプローチすることが求められます。
他の疾患との区別
LiDは他の耳の疾患と症状が似ているため、正確な診断が必要です。阪本医師は、医誠会国際総合病院における診察の流れや、LiDの問診表を用いた評価方法についても言及しました。これにより、医療機関での理解が進んでいくと期待されます。
LiDの支援と対応
診断後の支援や合理的配慮も講座の重要なテーマでした。具体的な支援メニューや支援機器についての情報が共有され、聞き取り困難症状を軽減する方法が紹介されました。患者一人ひとりのニーズに応じた対応が求められる中、医療機関が果たすべき役割の重要性が強調されました。
医療法人医誠会について
医誠会は1979年に設立され、大阪を中心に全国展開する病院やクリニックを運営しています。医誠会国際総合病院では、47の診療科をもち、最新の医療技術を取り入れた体制で地域医療に貢献しています。また、2024年12月にはJCI認証を取得予定であり、国際医療の分野でも挑戦を続けています。多様なニーズに応える医療を提供する姿勢は、地域住民からも高く評価されています。
まとめ
昨今、聞き取り困難の問題は多くの人々に影響を与えています。このホロニクス公開医学講座では、聞き取り困難症LiDの正しい理解と診断の重要性が強調され、多くの参加者が有意義な情報を得る機会となりました。今後もこのような啓発活動を通じて、問題の解決に向けた啓蒙が進んでいくことを希望しています。