日本交通とティアフォー、自動運転AI開発に向けたデータ収集の開始
日本交通株式会社(東京都千代田区、以下「日本交通」)とティアフォー株式会社(東京都品川区、以下「ティアフォー」)は、自動運転の安全性向上や運転の質改善を目的に、タクシー営業車両を使用した走行データ収集を2025年2月から開始すると発表しました。
このプロジェクトは、日本交通が運行するタクシーにティアフォー製のデータ記録システム(Data Recording System: DRS)を搭載し行われます。集められた走行データは、自動運転AIの開発に利用され、将来的には自動車業界のパートナーに提供される予定です。これは、政府が推進するモビリティデジタルトランスフォーメーション(DX)の方針や、レベル4の自動運転技術の実現に向けた重要なステップとなります。
背景
日本交通とティアフォーは、2018年11月から自動運転社会に向けたデータ収集実験を進めてきました。その中で、ティアフォーはパートナー企業とともにロボットタクシー実証プロジェクトを立ち上げ、自動運転システムの導入や、様々なサービスの検証に取り組んできました。これにより、経済産業省から補助金の交付を受け、ロボットタクシーの普及を見越した車両開発や活用方法の模索が進んでいます。
今回の走行データ収集では、高性能センサーを搭載したDRSが効果的に活用され、タクシー営業中の走行情報をリアルタイムで取得します。これまではティアフォーの実験車両を通じてのデータ収集しか行っていませんでしたが、来年からは実際のタクシー営業車両に基づくデータ集約が進むことで、より現実的な状況下におけるデータが期待できます。
具体的な取り組み
2025年2月からは、日本交通のタクシー営業車両5台による走行データの収集が始まり、その後20台に拡大する計画です。ティアフォーの提唱する協調的機械学習ソリューション(Co-MLOps)を活用することで、世界中のデータを合理的に共有し、自動運転AIの開発が加速されることを目指します。
この新しいデータ収集の試みは、東京都内広域で実施され、得られたデータセットは自動運転システムを開発する企業に提供される予定です。
今後の展開
両社は、今後さらに協力関係を強化し、日本の社会課題解決を目指してロボットタクシー事業の拡大を模索します。ティアフォーは、2024年11月開始のロボットタクシー実証から得たデータを基に、自動運転レベル4に相当するタクシー車両の開発を進めていきます。具体的には、段階的にロボットタクシーサービスの社会実装を実現する方針です。
これに伴い、まずは乗務員が運転席に座る「モビリティハブ型」サービスを実証し、地域の交通の利便性向上や、ロボットタクシー導入の手順について検討を進めます。
ティアフォーと日本交通の挑戦
ティアフォーは、自動運転の社会実装を推進する企業であり、その中で「Autoware」というオープンソースの自動運転ソフトウェアを提供しています。このプラットフォームを活用して、世界中のパートナーと連携し、自動運転技術の進化を支えています。
一方、日本交通も長い歴史と経験を持つ運輸業界のリーダーとして、タクシー事業から新しい技術の導入によるサービス向上を目指しています。両社が手を結ぶことで、物理的な移動だけでなく、社会全体における移動の未来を切り拓く可能性が高まります。
このデータ収集プロジェクトが成功することで、自動運転技術の実用化に向けた大きな一歩となることが期待されています。