薬剤師111名が語る!医薬品供給不足の実態と解決策
近年、調剤薬局業界における医薬品の供給不足が深刻な問題として浮上しています。株式会社イヤクルは、北海道に本社を構える企業で、111名の薬剤師へのアンケート調査を実施しました。この調査からは、出荷調整品や供給が不安定な医薬品に関する薬剤師の声が明らかになり、具体的な課題と解決策が見えてきました。
医薬品供給不足の現況
調査結果によれば、最も供給不足が指摘された医薬品には、咳止めの「アスベリン」、抗生剤の「サワシリン」、高血圧薬の「バルサルタン」などがあります。これらの医薬品は、患者の健康管理において非常に重要な役割を果たしていますが、その供給が不安定であるため、患者に対するサービスの質が低下する恐れがあります。
調査に参加した薬剤師からは「出荷調整品が多すぎて、把握しきれない」との声が多く、この現状が現場の業務に直接的な影響を与えていることが分かりました。さらに、医師とのコミュニケーション不足がトラブルを惹起し、患者への処方変更が円滑に行えないケースも報告されています。
会話を引き起こす出荷調整品リスト
具体的には、薬剤師が挙げた出荷調整品には以下のような医薬品が含まれています:
1.
咳止め・去痰薬
アスベリンやメジコンなど、風邪や呼吸器疾患に使用される薬剤が供給不足となっています。
2.
抗生剤
サワシリンやアモキシシリンなど、感染症治療に欠かせない抗生剤が出荷調整の影響を受けています。
3.
循環器系薬
バルサルタンやアムバロ配合錠といった医薬品が、慢性疾患患者の治療に重要ですが、供給が不安定です。
4.
漢方薬
ツムラ29(麦門冬湯)などの漢方薬も高齢者に多く処方されており、影響が大きいです。
医師とのコミュニケーション不足
薬剤師からのフィードバックの中で、医師との連携不足も大きな課題として指摘されました。特に、供給調整品が多様で、変更も頻繁に行われるため、迅速な対応が難しい現状にあります。医師が供給状況を把握していないため、処方変更を希望する際にトラブルが発生しやすい状況です。これにより、患者への適切な薬の提供や説明も難しくなってしまいます。
供給不足の解決策
この混乱を解消するためには、他の薬局との連携強化や供給情報の共有が不可欠です。薬剤師が互いに情報を共有し、代替薬を迅速に供給できる体制の確立が求められています。双方のコミュニケーションを強化し、患者にとって最適な治療が提供できる環境を整えることが、業界全体の課題です。
イヤクルの取り組み
株式会社イヤクルの代表取締役、佐孝尚氏は「今回の結果から、薬剤師が直面している課題は一層明確になった」とコメントしています。「イヤクル」は、薬剤師が必要とする医薬品を他の薬局と共有し、供給不足の問題を解決するプラットフォームです。この取り組みにより、効率的な薬局運営が実現され、患者へのサービス向上が期待されています。
おわりに
医薬品供給不足の問題は、今後の医療サービスに大きな影響を及ぼす可能性があります。薬剤師の協力と情報共有がこの課題の解決に向けた鍵となるでしょう。
さらに、国全体でこの問題の解決に向けて取り組むことが求められています。薬剤師がより良い医療サービスを提供できるよう、業界全体での連携強化が急務です。