Green Carbonがカンボジアで初の水田由来カーボンクレジット創出に挑戦
Green Carbon株式会社は、カンボジアのバッタンバン州において、初めて水田由来のカーボンクレジットを創出するプロジェクトを開始することが決まりました。これに伴い、バッタンバン州の農林水産局(PDAFF)とMOUを締結。プロジェクトの目的や意義について詳細を見ていきましょう。
プロジェクト概要
このプロジェクトは、バッタンバン州内の水田に「AWD(間断灌漑)」技術を導入し、メタンガスの排出を削減することを目指しています。2025年4月から3年以内に、およそ3万ヘクタールの水田にこの技術を拡大し、約130万トンものカーボンクレジットを創出する計画です。特に注目すべきは、これは実用化に向けた活動としては日本から初めての取り組みであり、持続可能な農業と気候変動対策を同時に進める先駆的なプロジェクトと言えるでしょう。
具体的な展開と役割分担
Green Carbonは、さまざまな自然由来のカーボンクレジット創出プロジェクトを展開しており、その中でカンボジアでも特に水田のメタン排出削減に注力しています。このプロジェクトの実施に向けて、カンボジア王立農業大学(RUA)と共同での研究を進めており、技術導入支援やメタン排出量の計測を行います。
PDAFFは、現地の農家との連携を強化し、灌漑管理システムの構築を担当します。さらに、バッタンバン州水資源気象局(PDWRM)と協力し、水資源の適切な管理を行います。これらの体制を通じて、プロジェクトの持続可能性と透明性が確保されることを目的としています。
カンボジアの農業と環境課題
カンボジアは、年間約4,880万トンの温室効果ガスを排出しており、そのほぼ半分が農業部門から発生しています。特に水田からのメタン排出は高く、国家としてもその削減が急務とされています。このプロジェクトを通じて、カンボジアの農業が抱える環境問題の解決を図ることが期待されています。
持続可能な米生産の実現
バッタンバン州はカンボジアの米生産の中心地であり、州の人々の大半が農業、特に稲作に従事しています。しかし、米の価格低下や生産コストの上昇が農家にとって大きな課題となっています。Green Carbonは、AWD技術の導入により収量向上を図り、農家の収入改善にも寄与することが目指されています。さらに、収集したデータを元に販路の拡大も行う予定です。
二国間クレジット制度(JCM)の活用
このプロジェクトでは、ボランタリークレジットだけでなく二国間クレジット制度(JCM)も活用すべく取り組んでいます。この制度により、カンボジアのメタン削減プロジェクトが経済的に支えられながら、両国の脱炭素化に寄与していく計画です。
まとめ
Green Carbonのこの新たな挑戦は、カンボジアの農業セクターの脱炭素化に貢献し、農業生産体制の持続可能な革新を促進させる可能性を秘めています。具体的な進捗が今後どのように展開されていくのか、引き続き注目が集まります。環境意識の高まりと共に、持続可能な未来へ向けた取り組みが進むことを期待しています。