MIT Jameel Clinicと国立がん研究センターが乳がんリスクを予測する共同研究を開始

画期的な乳がんリスク予測AIモデル「Mirai」

テクノロジーの進化が医療界にもたらす影響は計り知れません。米国マサチューセッツ工科大学（MIT）のMIT Jameel Clinicが国立がん研究センター中央病院と提携し、乳がんリスクを予測するAIモデル「Mirai」の評価が始まることが発表されました。この共同研究は、乳がん検診における診断精度を高めるための重要なステップとなることが期待されています。

Miraiの特徴と開発背景

Miraiは、2018年にMIT Jameel ClinicとCommunity Jameelによって共同開発されたもので、ディープラーニングを用いて乳がんの発症リスクを高精度で予測することができます。これまでに、23カ国72病院で200万件以上のマンモグラフィ画像を基に、Miraiの有効性が検証されています。最新の研究の目的は、日本人女性に特化して、どの程度の精度でリスクを予測できるのかを明らかにすることです。

共同研究の進行と目的

本研究では、2013年から2024年までに収集された日本人女性のマンモグラフィ画像を使用し、Miraiが算出した予測結果と実際の診断結果を比較します。このプロセスを通じて、日本の臨床環境におけるMiraiの精度、再現性を検証し、具体的な医療への応用を目指します。

国立がん研究センター中央病院の高齢女性の乳がん予防の取り組みを通じて、精度の高いリスク評価が行われることで、乳がん検診の個別化が進むことが期待されています。これにより、高リスク患者へのフォローアップを強化し、逆に低リスク患者への過剰検査を軽減することができるでしょう。

日本における乳がんの現状

乳がんは、日本の女性にとって最も多いがんであり、統計によると女性がん全体の約23%を占めています。毎年、約16,000人がこの病により命を落としており、早期発見が重要です。早期に乳がんが発見されれば、5年相対生存率は90％以上という非常に高い数字を示しています。このデータは、適切な診断とフォローアップが女性の健康にどれほど重要であるかを物語っています。

研究チームの展望

Community Jameelの創設者兼会長であるMohammed Jameel氏は、「Miraiは、AIを活用して世界中の女性のがん医療を前進させるための革新的なツールです」と強調しました。国立がん研究センター中央病院の腫瘍内科科長である米盛勧氏は、「本研究を通じて、過去のデータを活かし、日本女性の乳がんリスクを予測し、より良い医療の提供につなげたい」との意気込みを語っています。

未来への期待

日本国内の乳がん検診におけるAIの導入が進むことで、リスク層別化が可能となり、早期発見の精度が向上します。これにより、個々の受診者に応じた適切な医療が実現されることが期待されます。ジャミール商事はこの研究への支援を通じて、日本の医療の発展と健康向上に貢献していく方針です。

この革新的な取り組みによって、日本の乳がん医療が大きな進化を遂げることが期待されており、今後の研究成果に注目が集まります。さらに、Miraiが有効性を示した場合、今後の乳がん検診体制が根本的に変わる可能性を秘めています。