アイルランドの新たな半導体戦略「シリコンアイランド」
アイルランド政府は、国内の半導体産業を強化するための新しい国家戦略「シリコンアイランド」を発表しました。この戦略は、企業・観光・雇用大臣のピーター・バーク氏によって、特別なイベントで正式に公表されました。
「シリコンアイランド」は、欧州半導体法や「デジタル化の10年間(Digital Decade)」と連携し、アイルランドが世界の半導体産業で重要な役割を果たすことを目的としています。この取り組みには、専門分野の雇用創出や大規模な投資誘致が含まれ、アイルランドが欧州の半導体市場でリーダーとしての地位を確立することを目指しています。
半導体産業の基盤
ピーター・バーク氏はイベントで、「アイルランドには既に130以上の企業があり、2万人以上が半導体産業で働いています。年に135億ユーロの輸出も行われ、しっかりとした基盤が築かれています。この戦略により、2040年までに最大34,500人の新しい雇用を創出できると見込んでいます。」と述べました。
「シリコンアイランド」は、産業界や学術機関、政府、研究機関などの協力を得て策定され、人材育成や先端技術の開発が強調されています。また、半導体業界を支えるエコシステムの構築や、国際的なプロモーション活動も大きな目的となっています。
戦略の具体的な目標
この戦略が掲げる目標は次の通りです。
- - 地方に次世代半導体を製造する工場設置(高性能半導体1拠点、汎用半導体2拠点、高度パッケージング工場1拠点)
- - スタートアップ企業への資金調達や事業化支援
- - 研究開発能力の強化を図り、国内外の協力を促進
- - アイルランドの国際的なプレゼンスを高め、半導体の中心地としての地位を確立
- - 人材育成のための基盤づくり
バーク氏はさらに、「半導体はAIや量子コンピューティング、脱炭素化に欠かせない重要な要素です。この戦略は、アイルランドがこの分野で世界的にリーダーになるための決意を示すものです。」と強調しました。
既に進行中の取り組み
戦略発表にあたって、アイルランドはEUのパイロットラインに3件参加しており、合計7,000万ユーロの資金が確保されています。また、国家コンピテンスセンタ「I-C3」を設立し、Analog Devices社や他のEU諸国とも協力しています。このように、アイルランドは既に多くの施策を進めています。
Tyndall国立研究所のウィリアム・スキャンロン教授は、「半導体産業に対する政府の支援を歓迎します。研究機関として、この戦略の実現に貢献できることを誇りに思います。」とコメントしました。
アイルランド政府産業開発庁(IDA Ireland)は、国内外からの投資を促すために設立された機関であり、今後も日本企業を含む外国企業に対してアイルランドの産業基盤や人材育成、税制優遇措置に関する情報提供を行い、支援を強化していく方針です。貴社のビジネスチャンスも広がることでしょう。