新たな蓄電池シミュレーションツール「ENES」
株式会社Sassorは、法人向けに蓄電池導入のためのシミュレーションツール「ENES 需要家併設蓄電池シミュレーション」を新たに提供開始しました。このツールは、工場や商業施設、オフィスビルなど、高圧や特別高圧の電力を利用する法人のために設計されており、導入の投資判断から運用計画までの過程を支援します。
シミュレーションの特徴
ENESは、需要家の電力データを精密に解析し、最適な蓄電池容量や運用パターン、さらには収支シミュレーションを提供します。このことにより、電気料金の削減、収益獲得、脱炭素推進、そしてビジネス継続計画の強化といった多面的な利益を考慮することができます。
また、シミュレーションは導入前の段階から実際の運用における効果検証までをデータに基づいて一貫してサポートし、迅速な投資決定を可能にします。さらに、Sassorのアグリゲーションプラットフォーム「ENES」を活用して、実際に蓄電池の制御を行うことで、早期の投資回収を図ることができます。
開発の背景
エネルギー価格の高騰や脱炭素に対する期待が高まる中で、企業は需要ピークの抑制や災害時のレジリエンス確保など、さまざまな課題に直面しています。蓄電池はその解決策の一つですが、導入効果を数値化し、異なる市場間で収益シナリオの比較を行うには高度な専門知識と多くの時間が必要でした。そのような課題を解決するために、Sassorは自身の技術と知識を活かしてこのシミュレーションを開発しました。
主な機能
1.
ピークカット試算による最適容量決定
過去の需要データを解析し、異なる時間におけるピーク値を再現します。これによって、蓄電池導入後の最大需要削減量や契約電力の低減効果、年間電気料の削減額を明示し、各設備容量に対する投資回収シナリオを提供します。
2.
収益化シナリオの自動生成
ENESが持つ市場価格データベースと連携し、需給調整市場や容量市場への参入を考慮した収益のシミュレーションを自動で生成します。曜日別や時間帯別の制約条件を反映させ、複数のシナリオを比較することができます。
3.
BCP強化と脱炭素指標の評価
非常時におけるバックアップ電源の確保をシナリオに組み込み、平常時の収益性と両立するよう評価します。また、CO₂削減量や再生可能エネルギーの自家消費率など、サステナビリティ経営のKPIとして活用できる指標も算出します。
4.
経済性の自動算出
CAPEX、OPEX、補助金などの入力に基づいて、NPV、IRR、投資回収期間を迅速に算出し、資金調達モデルに応じたキャッシュフローを生成します。
対象施設
このシミュレーションツールは、工場やオフィスビル、商業施設、公共施設、データセンターなどの多様な施設に導入可能です。
今後の展望
今後は、以下のステップを踏んでENESの機能をさらに強化していく予定です。
- - ステップ1: 環境データをもとにしたリアルタイム自動制御のアルゴリズム拡充。
- - ステップ2: EVや熱源、空調など複数の設備の統合制御を実現し、よりスマートなEMS(エネルギーマネジメントシステム)へ進化。
- - ステップ3: 環境価値の取引プラットフォームとのデータ連携による新たな収益機会の創出。
- - ステップ4: シミュレーション結果の実行支援を通じて、結果検証まで伴走支援を行います。
会社概要
Sassor社は、AI技術を基本にエネルギーリソースの最適制御を行っており、アグリゲーションプラットフォーム「ENES」を提供しています。今後も蓄電池を活用した収益性の向上や再生可能エネルギーの普及を推進し、持続可能な社会の実現に向けた貢献を続けていくでしょう。