男性育休支援の実態調査
クラウド型人事労務システム「ジンジャー」を提供するjinjer株式会社が実施した調査によれば、企業における男性の育休支援の実態は複雑で、制度と現場のギャップが明らかになっています。この調査は、合計361名の企業の人事・総務担当者を対象に行われました。
調査の背景
近年、男性の育児参加を促進する社会的な動きが高まっています。政府が育児休業制度の改正や、企業に対する数値目標設定の義務化を進めているため、改正が2025年に施行されることも影響しています。しかし、労働市場においては育駅の取得率に地域差や企業規模によるばらつきがあり、職場文化の課題が残っています。特に管理職や同僚の理解不足、昇進に関する懸念など、見えない壁が男性の育休取得を妨げていると言われています。
調査結果の概要
2025年4月に施行が開始される数値目標設定義務化に関して、調査の結果、企業の約67%が既に男性の育休取得促進に向けた施策を実施していることが確認されました。中でも最も多かった取り組みは、育休取得を促進するための「社内ルールの整備」で、74.1%の企業が実施しています。このほか、育休取得者へのサポートや経営層からのメッセージ発信などが続いています。
一方で、直近1年間の男性社員の育休取得率は「1~10%」で、特に従業員500人以下の企業では育休取得率が0%という厳しい実態が浮かび上がりました。業務負担の増加が男性社員の育休取得の最大の障害であると感じている企業が38.8%を占め、次いで雰囲気に関する懸念が多いことも分かりました。
企業の課題と対応
また、数値目標の効果については、約68%の企業が有効だと考えているものの、まだ対応が進んでいない企業も多い状況です。男性育休の取得促進には、また職場風土の改善が重要とされており、約60%の企業が「取得しやすい環境の醸成」が必要だと感じています。
今後の支援策
「管理職・経営層向けの研修実施による文化の醸成」が最も多く挙げられましたが、業務分担の見直しや育休取得率の向上を目指す具体的な目標設定が求められています。この調査を通して、多くの企業が努力しているにも関わらず、現状では制度と実際の運用に大きなギャップが存在していることが強調されました。
企業の変革が求められる時代
jinjerの本部長である末廣氏は、育児と仕事の両立は性別を問わず重要なテーマであり、育休は「特例」ではなく「当たり前の選択肢」にすることが企業に求められていると述べています。そして、制度が形骸化しないよう、職場文化の改善や支援の必要性を訴えています。
今後、育児支援に向けた新しいステージに進むためには、制度と文化の両輪が整備される必要があります。人事部門が中心となり、育児支援の文化を育てていくことが、さらなる男性育休の取得へと繋がっていくのです。