2025年大阪・関西万博に向けた新たな取り組み
2025年4月に開催される「2025年日本国際博覧会」(通称:大阪・関西万博)が、近づくにつれて様々なプロジェクトが発表されています。その中でも特に注目を集めるのが、建築家・隈研吾氏が設計し、プロデューサーの小山薫堂氏が手掛ける「いのちをつむぐ(EARTH MART)」パビリオンです。このパビリオンでは、阿蘇の草原で育まれた自然素材“茅”が屋根に採用され、独自の美しさとメッセージ性を兼ね備えたデザインとなっています。
この万博は、1970年の「大阪万博」以来、55年ぶりの大阪での開催です。会場は大阪湾に浮かぶ人工島、夢洲に設定されています。このパビリオンでは、かつて日本全国で用いられていた茅が現代の建築に再び息を吹き込む重要な役割を果たします。
阿蘇の茅が持つ背景
茅は、屋根を葺くための材料として使用される植物で、近年その産地は減少の一途をたどっています。現在では、戦後の草原の減少により、阿蘇や御殿場、北上川の河口など限られた地域でしか見ることができなくなりました。万博に登場する「いのちをつむぐ」パビリオンでは、阿蘇を含む全国5ヶ所の草原から刈り取られた茅が使われる予定です。
意味のある素材としての茅の使用は、持続可能な未来を象徴するものであり、里山の暮らしに根ざした営みの循環を見事に表現しています。
隈研吾氏の思い
隈研吾氏は、パビリオンに込めた思いや意図を次のように語っています。「今回のパビリオンは単なる建物として捉えず、構成する素材がもつふるさとや、人と自然の営み、サイクルそのものを感じ取ってほしい。」また、このパビリオンは、展示終了後には別の場所で再び茅葺きとして再利用される予定です。このように、デザインは使われる過程をも考慮されているのです。
この話題をさらに深めるために、隈研吾氏へのインタビューは特設サイトにて公開されています。URL:
阿蘇草原再生プロジェクト特設サイト で内容をご確認ください。
阿蘇草原再生プロジェクトとその目的
阿蘇草原再生プロジェクトでは、草原の保全のため様々な取り組みを行っています。新たな価値を創造し、草原に関する情報の発信を行うことで、寄付やVOLUNTEERを促進することを目的としています。主な活動内容としては、草原の魅力に関する情報発信や、草原資源を活用した商品やサービスの開発が含まれます。これらの取り組みから得られる売り上げの一部は、草原の保全活動に充てられるのです。
また、阿蘇の草原を守るために企業や団体の支援を受ける「阿蘇草原応援企業サポーター認証制度」も運用されています。これにより草原保全の新たな担い手や資金を確保する狙いがあります。
このように、万博という大きな舞台を通じて、阿蘇の草原の尊さや、その自然の宝庫が私たちに与える影響を再認識する機会が得られるのです。
阿蘇グリーンストックの取り組み
公益財団法人阿蘇グリーンストックは、阿蘇の緑の大地を国民共有の生命資産として位置づけ、後世に引き継ぐための活動をしています。農村・都市・企業・行政の四者の連携を促進し、この広大な生命資産を保全することに情熱を注いでいます。
阿蘇は、「九州の水がめ」として多くの人々がその資源の恩恵を受ける地でもあり、また、食料生産においても重要な地域です。毎年、ここを訪れる観光客は1700万人以上にも上ります。
持続可能な未来を切り開くために重要な役割を担うこのプロジェクトと万博の開催を通じて、私たちの生活や地域がどのように変わっていくのか、期待が高まります。