2024年度のコンプライアンス違反倒産、過去最多の379件
株式会社帝国データバンクの調査によれば、2024年度における「コンプライアンス違反倒産」は379件に達しました。この数字は2023年度の352件を27件上回り、4年連続で過去最多を更新したことになります。
サービス業が最も影響を受ける
倒産件数を業種別に見ると、最も多かったのは「サービス業」で、129件を記録しました。これは構成比として34.0%に相当し、サービス業が特に深刻な状況にあることを示しています。次いで「建設業」が69件、「卸売業」が52件と続きました。
業種の中でも、中分類では間違いなく注目されるのは「広告・調査・情報サービス業」で、47件の倒産が報告されています。その後には、おそらく代替手段が限られる「その他のサービス業」が43件、「総合工事業」も31件と、全体のトレンドに影響を与えています。
目立つ「粉飾」倒産
違反類型として特に浮き彫りになっているのが「粉飾」で、101件に上ります。これは構成比の26.6%にあたり、過去最高を記録しているのです。ゼロゼロ融資などのコロナ禍における支援策が、粉飾の隠蔽を助け、その結果として企業の実態が明らかになるのが遅れたことが要因と考えられます。
さらに、ゼロゼロ融資の返済が開始されたタイミングで浮上するケースが増えており、その多くが驚くほど大きな負債を伴っています。これにより、金融機関や取引先にも大きな影響を及ぼすことになっているのです。
その他の倒産類型
次に多いのは63件の「その他」で、これは主に個人的な理由による代表者の逮捕や、支払いの遅延によって訴訟に発展したケースが含まれます。また、「業法違反」は62件で、その中に運輸業が17件も含まれており、国土交通省の処分によって企業の信用が失墜し、倒産に繋がっている事例も目立ちます。さらに、資金流出や横領が報告されている「資金使途不正」は61件で、悪質なM&Aに関連した倒産も増加しています。
不正受給も急増
特筆すべきは、雇用調整助成金を含む各種補助金に関する「不正受給」が55件に達しており、こちらも2年連続で過去最多を更新しています。
まとめ
2024年度の全国企業倒産件数は1万70件に及び、前年比で13.4%の増加を示しています。このような中で、コンプライアンス違反による倒産は、全体の3.8%を占め、非常に目を引く存在となっています。社会の目が企業の法令順守にますます厳しくなっているなかで、企業は自らの理念を見直し、法令の遵守を徹底していく必要があるでしょう。これにより、企業の信用を取り戻し、長期的な成長を狙うことが期待されます。