防災費用の変動と意識調査
株式会社インテージが実施した最新の調査結果により、日本における防災意識とそのための費用がどのように変化しているのかが明らかになりました。調査は2023年に全国の15歳から79歳の男女5,000人を対象に実施され、特に防災に対する意識の高まりや実際の支出状況が注目されます。
防災支出にまつわる実態
調査によると、過去1年間にかけた防災対策費用は平均2,892円と微増したものの、今後かけたいと考える費用は前年比で95.2%の5,473円と、減少に転じました。この現象は、物価高や防災意識の減少が要因と考えられます。一方で、「理想と現実」の間には大きなギャップが存在し、実際の支出の約2倍の差があることが指摘されました。
家庭での取り組みの増加
それにもかかわらず、家庭で防災対策を行っている割合は51.8%に達し、過去最高となっています。この事実は、個人の意識が高まり、具体的な行動に結びついていることを示しています。特に女性の防災意識が高まっており、男性に比べて積極的に対策を実施している傾向が見られました。
進化する防災対策
具体的な対策内容についても注目すべき点があります。特に「簡易トイレ」の準備は前年比123.6%の増加を示し、災害時の生活への備えが強化されていることが分かります。他にも、「避難所を確認・家族で共有」といった行動や、医療面への備えとして「持病の薬・常備薬」や「生理用品」の重要性も認識されつつあります。また、猛暑対策として「冷房がきいた施設での高温対策」なども広がりつつあります。
自己評価の課題
しかし、防災への自己評価には依然として課題があります。「できている」と自信を持つ人はわずか1.8%にとどまり、43.2%の人々が「できていない」と感じていることが明らかになりました。この背景には「実感が湧かず優先度が低い」との理由が多くを占め、次いで「何から始めればよいか分からない」という声が挙げられています。これらの回答から、情報不足や対策の質への懸念が伺えます。
必要とされる支援と施策
今後の課題としては、防災対策を「見える化」し、取り組みに対する達成感を得られる仕組みが求められます。また、消費者が手軽に始められる対策や明確な情報の提供も重要です。企業や団体はこのようなニーズに応えるべく、コストパフォーマンスに優れた防災用品の提供も検討する必要があります。
まとめ
インテージの調査結果から、日本における防災意識は高まりを見せている一方で、実際の取り組みや自己評価には依然として課題が残っていることが分かりました。危機意識が風化しないよう、今後も生活者に対する継続的な啓発や支援が求められます。