ベクターHD、完全準同型暗号技術の実用化に向けた概念実証を開始
株式会社ベクターホールディングス(以下、ベクターHD)は、データのプライバシー保護と高度な利用を実現するため、完全準同型暗号(FHE)技術に対する概念実証(PoC)を始動させた。これは、医療、金融、政府など機密性の高いデータを日常的に扱う分野において、データの安全性とその有効な活用の両立を目指した新しい試みである。
FHE技術の重要性
FHEとは、データを暗号化した状態のまま計算を行える技術であり、外部にデータが漏れずに情報処理が可能であるため、データを扱う全ての機関にとって非常に重要な技術とされている。しかし、計算負荷が高いため実用化への道は容易ではなかった。ベクターHDは、これを解消するべく、Cornami社のFracTLcore®プラットフォームに注目。実際の運用に向けたサポートをする方針だ。
概念実証の内容
この実証は、エクイニクス・ジャパンが運営するデータセンターで行われ、NVIDIA H100を基準にした性能評価が行われる。具体的には、以下の領域におけるFHEの実用性を検証する。
医療記録や金融取引を開示せずに、これらのデータを分析・集計することができるかを確認する。
複数の金融機関間での不正検知や病院間での共同調査が可能かどうかを評価する。
暗号データを平文に変換することなく、効率的に検索・処理できるかを検討する。
これらの検証のために、ベクターHDは、安定した電力供給や高い運用信頼性を持つデータセンター環境を整備し、技術的な評価を行う。
未来の展望
ベクターHDは、FHE技術を利用したデータ処理の実用化に向けた研究を進めており、医療、金融、研究機関など機密データを扱う組織のニーズに応える新しい計算基盤の提供を目指す。成果が実証された場合、FHEを根底にしたサービスを検討し、パートナー企業との協力を通じて、具体的な導入モデルや形態を構築することが計画されている。
このプロジェクトは、ハードウェアアクセラレータとFHE技術を組み合わせることで、より安全なデータの活用を可能にする新たな時代を切り拓くものとなるだろう。
お問い合わせ
ベクターホールディングスのAI事業に関するお問い合わせは、以下の連絡先までどうぞ。
また、今後の報道関係者からの問い合わせは、広報・IR室まで。
会社情報
ベクターホールディングスは1989年に設立された企業で、国内最大のソフトウェアダウンロードサイト「Vector」を運営しており、日本のIT文化の発展に寄与してきた。今後も進化を続ける中で、AIインフラ事業など新たな領域に挑戦している。