株式会社QIXと学校法人帝京大学が、シトラールという天然成分を用いた動物向け製品の開発および販売に関する契約を結びました。これは、シトラールが持つ抗真菌・抗菌作用を活かして、特に犬マラセチア皮膚炎の治療や予防に役立つことを目指しています。
シトラールは、主に香料などに使われる成分で、最近の研究ではその抗真菌作用が注目されています。帝京大学の医真菌研究センターに所属する加納教授と、犬と猫の皮膚科を専門とする村山獣医師の研究チームは、シトラールが犬マラセチア皮膚炎の原因菌である“Malassezia pachydermatis”に有効であることを確認しています。この成果を元に、特許出願中の「マラセチア皮膚疾患の予防又は治療用組成物」など、動物向けのスキンケア製品の開発が進んでいくとのことです。
犬マラセチア皮膚炎は、日本の湿度や温暖な気候によって広く見られる皮膚疾患です。基本的な治療法としては、アゾール系抗真菌薬を使用したスキンケアシャンプーなどが一般的ですが、近年では耐性株の問題が浮上してきています。耐性化の要因の一つとして、嗜好性の高いエルゴステロール合成酵素の遺伝子に変異が見られることが挙げられています。このため、獣医療業界では新たな治療法の必要性が高まっています。
本契約によって、QIXと帝京大学が協力して開発を進めるシトラールを使用したスキンケア製品は、動物病院でのマラセチア皮膚炎の治療や予防に貢献できることが期待されています。加えて、この契約は獣医療界における新しい治療法の選択肢として、大きな意味を持つでしょう。
帝京大学は、1966年に設立された教育機関で、東京都内に複数のキャンパスを持ち、様々な学問領域を提供しています。一方、株式会社QIXは、ペットとその飼い主の生活の質を向上させるための商品やサービスの開発を行っており、その中の一環として動物病院用のプロダクトやスキンケア商品を展開しています。
今後もQIXと帝京大学の共同研究により、動物向けの新たな製品が登場することが楽しみです。この革新的な試みが、犬や猫の飼い主たちの暮らしにどのような影響を与えるのか、今後の展開に注目が集まります。