日本企業がシアトル近郊に新たな集合住宅を共同開発
住友林業株式会社と株式会社熊谷組、芙蓉総合リース株式会社の3社が、全米で名高いデベロッパーTrammell Crow Residential(TCR)と手を組み、アメリカ・ワシントン州シアトル近郊に賃貸用集合住宅を開発するプロジェクトを発表しました。こちらのプロジェクトは、日本企業が海外で進める不動産開発の新たな成功事例になることでしょう。
プロジェクトの概要
新たに開発される集合住宅の総戸数は388戸で、8階建ての施設が2025年9月に着工予定。2048年12月には賃貸を開始します。この住宅は、シアトル都市圏の人口の増加が著しいベルビュー市に位置し、特にイーストサイド地域の中心に建設されることが決まっています。
鉄筋コンクリート(RC)造の1~3階と木造の4~8階を組み合わせており、この工法により、建設コストを削減するとともに、環境に配慮した脱炭素化の実現にも寄与しています。木造建築は、CO2の排出量が少なく、内部に炭素を長期間貯蔵するため、持続可能な開発に向けて重要な役割を果たすことが期待されています。
特徴的な住環境
このプロジェクトでは、主にヤングプロフェッショナル層をターゲットとしながらも、ファミリー層や中高年夫婦のニーズにも応えられるよう多様な間取りが用意されています。加えて、最新のフィットネスセンター、シアトルやベルビューのダウンタウンを一望できる屋上デッキ、オフィススペース、ペットケア設備など、入居者が快適に生活できる充実した共用施設が整えられる予定です。
立地の魅力
物件は、シアトル・タコマ国際空港から約25分、シアトル中心部まで約15分という好立地にあります。州間高速道路90号線と405号線の近接により、AmazonやMicrosoft、T-Mobileなどの主要企業や教育機関へのアクセスも非常に便利です。さらに、ビジネスや教育環境の整ったベルビュー市には、地域の教育レベルがワシントン州内で最高位という特徴もあり、若い世代や家族層には大変魅力的なエリアと言えるでしょう。
プロジェクト推進の背景
本プロジェクトは、住友林業が進める中大規模木造建築の技術を基にして、熊谷組が訴求する環境配慮型不動産開発と、芙蓉総合リースのESG理念を融合させた形となっております。住友林業グループは、2018年より不動産開発に本格的に参入し、2024年の着工予定戸数は5,344戸にのぼるとの見込みです。今回のプロジェクトは、日本企業がアメリカ市場で着実に足場を固めつつあることを象徴する重要な取り組みです。
今後の展望
住友林業グループは2030年を見据えた長期ビジョン「Mission TREEING 2030」を掲げ、森林から木材建材の製造・流通、さらには不動産開発までをトータルで展開。持続可能な社会の実現に向け、今後もプロジェクトの増加が期待されます。熊谷組、芙蓉リースそれぞれが持つ専門性や経験を活かしつつ、地域・社会に貢献し続ける姿勢が求められることでしょう。
この共同開発プロジェクトは、米国における日本企業のプレゼンスを一層強化するものとして、全ての関係者にとっての新たな成功と経験となることでしょう。