若者の新たな働き方:ハイブリッド時代の人材戦略に迫る
2025年4月8日、英国規格協会(BSI)が発表したレポート「共に進化する:次世代を惹きつける組織へ ― ハイブリッド時代の人材戦略と職場設計」は、パンデミックが若者の働き方にどのように影響を与えたかを探ります。この調査は、2020年以降に新社会人となった約2億人が形成する「ハイブリッド世代」に焦点を当てています。
ハイブリッド世代の特性
この世代は、パンデミック以前の職場環境を知ることなく、出社とリモートワークを組み合わせた勤務スタイルを自然なものとして受け入れています。調査結果によると、若手社員の64%が完全出社にはリモートワークよりも賃金が高くあるべきだと考えており、ワークライフバランスが仕事へのモチベーションにおいて最も重要であると答えています。
また、調査対象者の4分の1強(約27%)が完全出社を希望している一方で、フルリモート勤務はわずか16%にとどまり、ハイブリッド勤務の人気が高いことがわかりました。これにより、企業は労働者が求める柔軟性を提供しつつ、信頼に基づく企業文化を構築する必要があるとされています。
ワークライフバランスがカギ
調査の結果、約49%が完全出社が求められる仕事に就くことを躊躇すると答え、もし求められた場合には仕事を辞めたくなると考える人も多いことが明らかになりました。また、仕事満足度を左右する要因として、ワークライフバランスが最も高く評価され、次に安定した仕事や金銭的インセンティブが続きます。
特に、リモートワークによって通勤にかかるコストが減少するという経済的なメリットも大きく、多くの人がリモートワークの環境を続けたがっています。
対面コミュニケーションの重要性
一方、対面でのコミュニケーションを重視する声も強く、調査参加者の60%がハイブリッド勤務でも全員出社の日を設けるべきだと回答しています。このことから、オンラインでのやり取りでは味わえない人とのつながりが、若者たちにとって大切な要素であることが伺えます。
メンタルヘルスへの影響
調査では、リモートワークがメンタルヘルスに悪影響を及ぼしたと答えた人が約34%いる一方で、57%がハイブリッドワークによりメンタルヘルスが向上したと回答しています。特に、対面での職場経験がもたらす社会的なメリットが際立っています。この調査は、若者が多様性、持続可能なキャリアを求める価値観を持ち、企業もそのニーズに応えることが重要であることを示しています。
企業文化の重要性
BSIのCEOであるスーザン・テイラー・マーティンは、「パンデミック以降の新たな働き方について模索が続いている。企業は若者たちがどのような価値観を持っているかを理解し、共感することが重要」と述べています。特に日本においては、少子高齢化が進む中で若年層の活躍を支える環境づくりが持続可能な経営に繋がると強調しています。
まとめ
ハイブリッドワークは、今後の働き方として多くの企業に求められるスタイルです。BSIの調査結果は、若者の働き方がどのように変化し、何を求めているのかを知るための貴重な資料となります。企業がこの若者世代の価値観を理解し、柔軟な働き方を実践することは、持続可能な成長に寄与するでしょう。