日常を彩る不思議な物語集、イム・ソヌの新刊が登場!
韓国生まれの才能豊かな作家、イム・ソヌの短編集『光っていません』が、遂に東京創元社から11月29日に発売されます。これまでのイム・ソヌの作品同様、彼の描く物語の世界には、奇妙さと優しさが入り交じり、読者を夢のような感覚へと誘います。
この短編集には、八つの異なる物語が収められています。その中の一つである「幽霊の心で」では、主人公と彼の分身を名乗る幽霊との奇妙な共同生活が描かれます。日常生活の中で心の支えとなる幽霊の存在が、物語に軽やかなユーモアを加え、閉塞感を和らげてくれます。
また、表題作である「光っていません」では、人間がクラゲに変わりうる未来を舞台に、音楽活動を辞めた主人公が、自らクラゲになりたがる人々を支える仕事に就く姿が描かれています。社会の変化に翻弄されながらも、人間らしさを含むストーリーが、深い感動を呼び起こします。
この短編集は、読み進めるごとに新たな発見と感情の波が広がり、思わずページをめくる手が止まらないでしょう。物語に登場するのは、分身の幽霊や変種のクラゲ、役割代行の駆け出し俳優など、いずれも我々の現実世界とはかけ離れた存在ですが、その中に潜む人間らしい感情や思いは、どこか共感を呼び起こします。
この短編集の魅力は、奇妙でありながらも優しい物語を通して、日常の中で忘れられてしまった感情を呼び起こすことです。穏やかな描写の中に潜む深いメッセージは、読者に新たな視点をもたらし、心を軽くしてくれることでしょう。また、イム・ソヌの文章は、リズミカルで鮮やかに色づけられた彼の意志を感じさせ、まるで一篇の詩を読んでいるかのようです。
本書は、240ページにわたる薄い冊子で、これからの季節にふさわしい読み応えと温かみを持っています。装画は牧角春那による美しいもので、装幀は藤田知子が手掛けています。定価は2,310円(税込)ですので、ぜひ手に取ってみてください。
著者のイム・ソヌは1995年にソウルで生まれ、2019年には新人文学賞を受賞し作家デビューを果たしました。彼の才能は今なお成長を続けており、2022年には短編「ラクダとクジラ」で金裕貞作家賞を受賞するなど、多くの評価を得ています。
この新刊『光っていません』を通じて、ファンタジー溢れる世界に浸りつつ、彼の独特の視点を感じ、自らの生活に新たな風をもたらしてはいかがでしょうか?
この短編集は、さまざまなジャンルを超えた普遍的なテーマを扱い、韓国文学の新たな魅力を伝えてくれます。読後には、温かい気持ちが残り、日常を見つめ直すきっかけになるかもしれません。ぜひ皆さんも、奇妙で愛しい物語の数々を体験してみてください!