価値観を変える授業が実現
2023年12月18日、東京都あきる野市に位置する前田小学校で、特別な授業が行われました。これは、子どもたちが性別による「無意識の思い込み」、いわゆるアンコンシャス・バイアスに気付くことを目的としたもので、東京都教育委員会と学校の連携による取り組みです。
授業の目的と背景
この取り組みの背景には、過去の調査結果があります。令和4年度と令和5年度に行われた調査では、多くの児童や保護者、教員が性別による職業の向き不向きがあると考えていることが明らかになりました。この思い込みは、小学生よりも高校生に多く見られ、成長する中で徐々に形成されていくことが示されています。これに対抗するため、東京都は幼少期からこうした思い込みに向き合い、自分の可能性を広げるチャンスを提供しようという意図から、本授業を実施しました。
5年生と6年生の授業内容
当日は、5年生と6年生のクラスでそれぞれ異なるテーマが設定されました。5年生では「日常生活の中に潜む性別による思い込み」を議論しました。子どもたちは身近な例を挙げながら、自分自身も知らず知らずのうちに抱えていた思い込みに気付きました。「ピアノは女の子が習うもの」という偏見や、「男の子は運動が得意だと決めつけていた」など、率直な意見が交わされ、活発なディスカッションが展開されました。
教室では、自らの行動を振り返り、思い込みの裏に潜む固定観念を理解しようとする姿が見られました。一人の生徒は「今までピアノが好きだったのに、男の子だから習ってはいけないと思っていた」と言い、周囲からの共感を得る場面も見られました。これにより、より良い人間関係を築くためには、自分の考えを持ち、他者とも尊重し合う必要があることを再認識しました。
6年生では、「職業に対する性別による思い込み」に焦点をあてました。この授業では、自分のキャリアに対する考え方を広げることが目的です。生徒たちは「性別による偏見のせいで、自分のやりたい仕事ができない人がいることに気がついた」と、思い込みが社会に及ぼす影響について考える機会を得ました。中には「思い込みをなくして、皆が望む職業に就けるようにサポートしたい」と力強く宣言する生徒もおり、未来への希望に満ちた教室の雰囲気が印象的でした。
まとめ
両クラスとも、読売KODOMO新聞からの特集記事を導入部に活用し、客観的なデータや社会の現状にも触れながら学びを深めました。子どもたちが自らの思い込みを認識し、成長する機会を得ることは、社会全体の変化にも寄与する重要なステップです。このような授業が今後も続くことで、より良い社会を形成していくことが期待されています。今後の教育現場における取り組みにも注目が集まります。
授業の実施概要
日時: 2023年12月18日(木曜日) 13時25分から14時10分(5限目)
場所: あきる野市立前田小学校、
(東京都あきる野市野辺92番地)
参加クラス: 小学5年生26名(担当:今村 将司先生)
授業の主なテーマ: 日常生活に潜む性別による思い込み
参加クラス: 小学6年生24名(担当:犬伏 克代先生)
授業の主なテーマ: 職業に対する性別による思い込み