高カカオチョコレートが筋力トレーニングに与える影響
筋力トレーニングは健康を促進する手段として注目されており、その中でも特に高強度レジスタンス運動が注目されています。しかし、強度の高い筋力トレーニングは動脈の硬さを増加させ、心臓や血管に負担をかけることがあります。そんな中、株式会社明治と日本体育大学の研究グループは、トレーニング前に高カカオチョコレートを摂取することが、運動によって増加する動脈スティフネスを速やかに低下させることを明らかにしました。
研究の背景
2025年9月6日、国際的な学術誌『Journal of Exercise Science & Fitness』に掲載された研究によると、高カカオチョコレートにはカカオポリフェノールが豊富に含まれており、これが血管機能を改善することが知られています。この研究では、カカオポリフェノールを含む高カカオチョコレートを摂取した場合と、含まないホワイトチョコレートを摂取した場合の動脈スティフネスの変化を比較しました。研究は、健康な若年男性12人を対象に行われ、各自が高カカオチョコレート50グラムまたはホワイトチョコレート50グラムを摂取し、その後に高強度のレジスタンス運動を実施しました。
研究の方法
運動前、運動直後、そして運動終了後30分と60分のタイミングで、運動による動脈の硬化度を測定するため、「上腕‐足首間脈波伝播速度(baPWV)」などの指標が用いられました。高カカオチョコレートを摂取した場合、運動後30分には、ホワイトチョコレートを摂取した場合と比較して、baPWVが有意に低下したことが確認されました。このことから、高カカオチョコレートが運動による動脈スティフネスの増加を速やかに解消する可能性が示唆されています。
動脈スティフネスとは、動脈壁が硬くなることで血流が悪化する状態を指します。運動後にスティフネスが増加することは、心血管系にとってのリスク因子とされています。つまり、トレーニング前に高カカオチョコレートを摂取することで得られるこの効果は、これからのトレーニングルーチンにおいて非常に有益です。
心血管への影響
また、研究では、中心動脈の柔軟性や動脈硬化度指標には有意な変化は見られなかったことも重要なポイントです。これは、高カカオチョコレートが主に末梢動脈に効果を及ぼし、中心動脈には直接的な影響を持たないことを示しています。
今後の展望
この研究の成果は、高強度のレジスタンス運動を行う人々にとって特に意義深いです。運動前に高カカオチョコレートを摂取することを続けることで、心血管系への負担を軽減し、運動の効果を最大限に引き出すことが期待されます。今後も高カカオチョコレートがもたらす血管機能の改善に関する研究が進むことを期待しています。
私たちは、食事の選択が健康に与える影響を見逃すことなく、日常生活に取り入れたいですね。