CUBICStarsがオルガノイド・スフェロイドに特化した透明化試薬キットを発売 - 創薬研究の新たな可能性を切り開く
創薬支援事業を展開する株式会社CUBICStars(本社:福岡県久留米市)は、オルガノイドおよびスフェロイドに特化した透明化試薬キットを発売しました。この試薬は、動物実験の代替として期待されるオルガノイド・スフェロイド研究を加速させる可能性を秘めています。
背景
近年、動物実験の倫理的な問題やコスト面からの課題が浮上する中、オルガノイドやスフェロイドを用いた創薬スクリーニングの開発ニーズが高まっています。オルガノイドは、幹細胞などから培養された3次元的な組織構造を持つ細胞塊であり、生体内の臓器を模倣した実験系として注目されています。一方、スフェロイドは、細胞が球状に集まって形成された構造体で、組織培養において簡便なモデルとして利用されています。
しかしながら、従来の技術では、オルガノイドやスフェロイドの内部構造を詳細に観察することが難しく、創薬研究の進展を阻害する要因となっていました。特に、組織全体の細胞レベルでの詳細な3次元イメージングは、技術的な課題として克服すべき点でした。
CUBICStarsの革新的な試薬
株式会社CUBICStarsは、従来の動物組織に適用されていた「CUBIC法」をオルガノイドおよびスフェロイドに最適化することで、これらの課題を解決する透明化試薬キットを開発しました。この試薬キットは、オルガノイド・スフェロイドを透明化し、細胞レベルでの詳細な3次元イメージングを可能にする画期的な技術です。
CUBIC法とは?
CUBIC法は、組織サンプルの脱脂・脱色および屈折率調整を行うことで、サンプルを透明化し、内部構造を可視化する技術です。この透明化されたサンプルに対して免疫染色を施し、ライトシート顕微鏡または共焦点顕微鏡で撮影することにより、高解像度の3次元イメージングを実現します。
新試薬キットの特徴
CUBICStarsが今回発売した試薬キットは、従来の動物組織の脱脂・脱色用として使用されていた「CUBIC-L」と、屈折率調整用の「CUBIC-R+(N)」をオルガノイドおよびスフェロイド用に応用したものです。これにより、オルガノイド・スフェロイドに特化した水溶性の透明化試薬キットとして世界で初めて発売されました。
この試薬キットは、一般的な研究室設置の機材のみで実施可能で、電気泳動装置等の特殊な専用機器は不要です。光シート顕微鏡や共焦点レーザー顕微鏡を使用することで、オルガノイド・スフェロイド全体を細胞レベルで3次元にイメージングすることが可能になります。
創薬研究への貢献
この試薬キットは、オルガノイド・スフェロイドを用いた創薬研究の効率化に大きく貢献すると期待されています。より詳細な細胞レベルでの構造解析が可能になることで、創薬スクリーニングの精度向上、薬効評価の精緻化、副作用の予測など、様々な創薬研究において革新的な成果をもたらすと考えられています。
CUBICStarsの創薬支援事業
CUBICStarsは、創薬の前臨床試験において臓器の細胞組織を透明化し、医薬品の内臓分布や細胞反応を包括的に三次元解析する製品「CUBIC」を提供しています。試薬キットの製造・販売のほか、CROサービスも展開し、サステナブルな創薬プロセスの進化を支援しています。
今回の新たな試薬キットの発売と受託研究の範囲拡大は、CUBICStarsが創薬研究の更なる発展に貢献していくための重要な一歩となります。