新型バッテリー温度安定化デバイスの宇宙実証、超小型衛星で成功

超小型衛星搭載の新技術が宇宙で温度安定化を実現

新日本電工株式会社と関西大学が共同で開発した二酸化バナジウム系固-固相転移型潜熱蓄熱材を活用した電源温度安定化デバイスが、超小型衛星「DENDEN-01」に搭載され、宇宙での温度安定化効果を確認しました。これは、衛星が厳しい宇宙環境において電源を安定的に保つことができる新たな技術を示しています。

このデバイスは、2021年12月9日に国際宇宙ステーション（ISS）から放出されたDENDEN-01に搭載されており、宇宙での通信を通じてバッテリーの温度が設計通りの範囲に収まっていることが報告されました。これにより、寒冷な宇宙環境下でもバッテリーの温度が適切な範囲で維持されたことが確認され、技術の実用性が証明されました。

宇宙環境における温度管理の重要性

宇宙では、極端な温度変化が発生するため、電源の温度管理は非常に重要です。特にバッテリーは、温度が設計範囲を外れると性能が低下し、最悪の場合は故障を引き起こすこともあります。この新たなデバイスは、固-固相転移型の特性を持つ蓄熱材を活用し、バッテリーを理想的な温度に保つ役割を果たします。

超小型衛星市場の成長に貢献

最近、超小型衛星市場は急速に成長を遂げています。これは、衛星通信、地球観測、宇宙技術の実証など、さまざまな商業利用が急増しているためです。新日本電工は、このデバイスの成功を通じて、二酸化バナジウム系の潜熱蓄熱材料の宇宙でのさらに広範な応用を目指しています。

その背景には、JAXAと大学間のコラボレーションがあり、超小型衛星「DENDEN-01」は2021年度に公募された打ち上げ枠に採択されたプロジェクトです。この衛星は、先進的なエネルギー技術や高負荷ミッションの遣外実証を行うことで、次世代の超小型衛星開発に貢献することを目的としています。