近畿不動産動向
2020-04-16 09:10:06
近畿圏の不動産市場、マンション取引が減少傾向にあり
近畿圏不動産流通市場の動向
近畿圏、特に近畿2府4県における不動産市場の動向が、2020年の初めから注目を集めています。この期間において、中古マンション取引の成約件数は前年同期間と比較して減少していることが確認されています。具体的には、2020年1~3月期の成約件数は4,627件となり、前年比で3.8%の減少が見られました。これは、2四半期連続の減少を示しています。
しかし、興味深いことに同じ期間における中古マンションの新規登録件数は17,721件と、前年比で10.9%の増加を記録しました。このことから、不動産市場は売り出し件数が増えているものの、取引は不振という需給のバランスに異変が生じている状況といえるでしょう。この流れが続けば、取引が伴わない供給過剰という問題が顕在化する可能性も考えられます。
成約価格に目を向けると、2020年1~3月期の成約価格は2,372万円で、前年比で0.4%の上昇を見せました。この上昇は、驚くことに過去29四半期にわたり続いているトレンドです。一方で、売り出し価格も増加し、2,461万円と6.9%の上昇を記録しました。このように、成約価格は96年同期の水準に近い回復を見せているものの、上昇率は緩やかになっており、売り出し価格との乖離が拡大しています。この兆候は、投資家にとっては不安材料と捉えられるかもしれません。
続いて、中古戸建住宅の成約には明るい兆しが見えます。中古戸建住宅の成約件数は3,367件に達し、前年同期比で7.7%増加しました。売り出し件数も15,271件と12.3%増加しており、供給が強まっています。この中古戸建ての成約価格は1,916万円で、0.3%の上昇を示しました。こちらも売り出し価格は2,485万円と、長期にわたり上昇が続いています。
2013年以降の大規模な金融緩和政策により、中古マンションの価格は全体的に上昇基調をたどってきました。しかし、最近の取引減少や成約価格の横ばい状態は市場に弱含みの兆候を示しています。特に、中古マンション取引は投資需要が影響するため、景気の動向に敏感であることが知られています。2019年10月の消費増税から徐々に市場の減速が見え始めていたものの、コロナウイルスの影響が新たな不安材料となっています。
まとめると、近畿圏の不動産市場は、特に中古マンションにおいて取引が減少している状況であり、成約価格の上昇も低下が見られます。市場の需給緩和が進む一方で、中古戸建住宅は比較的堅調に推移しているため、今後の動向が注目されます。新型コロナウイルスの影響がどのように不動産市場に波及するのか、今後も慎重に見守っていく必要があります。
会社情報
- 会社名
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公益社団法人近畿圏不動産流通機構
- 住所
- 大阪府大阪市中央区船越町2丁目2番1号大阪府宅建会館5階
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06-6943-5913