郷土芸能を支える新たな道具「ゴムわらじ」の開発背景
岩手県花巻市に本社を構える株式会社小彌太は、2025年3月19日、待望の自社開発「ゴムわらじ」の販売を開始しました。これは、郷土芸能事業”雷太”の立ち上げに伴う新たな試みとして注目されています。実は従来、ゴムわらじは国内のゴムメーカーによって製造されていましたが、コロナ禍の影響でその製造が断たれてしまっていました。
そのため、問い合わせが殺到する中で、小彌太は約2年間の開発を経て、ついに自社で製造したゴムわらじを完成させました。この開発について、同社のゴムわらじ開発担当である木戸口邦治さんは「試行錯誤の連続でした」と振り返ります。
開発の苦労と成功
サンプルを作成する中で、最初の試作品はすぐに壊れてしまったり、履き心地が悪かったり、見た目も不満が残るものでした。試作品は100足以上に及び、思うような結果が得られず、木戸口さんは深刻な危機感を感じました。しかし、そんな時、地元の靴職人が助けとなり、彼から靴作りの知識や技術を教わることで、製品は急速に改良されました。このため、ゴムわらじの完成度は飛躍的に向上し、さらなる顧客からの高評価を得ることができました。
ゴムわらじの特徴
リリースされたゴムわらじは、耐久性と柔軟性に優れた合成ゴムを使用し、クッションソールを採用しています。また、牛革製のチヒも使用されており、撥水性や耐久性が高いため、多くの郷土芸能団体からの注目を集めています。販売価格はサイズによって異なり、税込でSSサイズからLLサイズまで提供されています。最初の先行販売分は好評で、なんと100足が完売しました。
先代の伝統を受け継ぎつつ新しい挑戦
小彌太は、1781年に創業以来244年にわたり、地域に密着した事業を展開し、染物や郷土芸能物品の製造に関わってきました。最近は後継者不足が取り沙汰される中、踊り手だけでなく、物品の生産者も減少しているという現状がありました。その声に応える形での新たなゴムわらじの開発は、ただの道具ではなく、郷土芸能の存続に向けた大きな一歩となります。
今年の夏には、郷土芸能の体験教室を兼ねたイベントも予定しており、さらにはお土産商品の開発にも着手するとのことです。このように“郷土芸能の総合メーカー”としての成長を続けていく小彌太に、大いに期待が寄せられています。
購入方法
感興のある方は、公式サイトやInstagramなどから購入が可能です。木戸口さんは「ぜひ一度ゴムわらじを履いてみてください」と自信を持って語ります。この新たな道具が、郷土芸能の新しい未来を切り拓くきっかけとなることでしょう。