遠隔ゴミ分別ゲーム『Eco Catcher Battle』がもたらす新しい支援
シンガポールを拠点に活動するDigital Entertainment Asset Pte.Ltd.(DEA)が、東京のRita Technology株式会社と共同開発した新しい遠隔ゴミ分別ゲーム『Eco Catcher Battle』が注目を集めています。このゲームは、AIを搭載した自動選別ロボット「URANOS」を活用し、廃棄物処理業務の効率化を図る支援ツールとして位置付けられています。実際の廃棄物処理工場と連携し、障がい者施設での運用を通じて、就労支援も視野に入れた取り組みです。
ゲームの仕組みと特長
『Eco Catcher Battle』では、プレイヤーがタブレットの画面で流れてくるゴミをスワイプして分別します。この操作により、遠隔地にいるミニチュアサイズの自動選別ロボット「URANOS」が実際に動き、ゴミが分別されるという仕組みです。プレイヤーは正確に分別することで得られるポイントを競い合いながら、楽しくゴミ分別に取り組むことができます。
特に注目すべきは、ゲームが行う実証実験が廃棄物処理工場と連携して行われる点です。このプロジェクトに参加する障がい者施設の利用者は、仕事を通じてゴミ分別の重要性を学びながらスキルを身につけることが期待されています。
AI技術の活用
さらに、DEAはこのゲームを通してAIに必要な教師データの作成も行います。ゲームプレイを通じて収集したリチウムイオン電池を含む廃棄物のデータは、高精度なAI自動分別システムの開発に役立つことになります。現在、このように高精度でリチウムイオン電池を選別できるシステムは存在しないため、本ゲームの提供するデータは新たな技術革新の鍵となります。
広がる活用の可能性
『Eco Catcher Battle』は今後、ゲーム内の「アノテーション・モード」を活用した報酬体系を実装し、プレイヤーが選別データを提供することで報酬を得られるPlay to Earnゲームとしても展開予定です。また、廃棄物の選別のみならず、水産業での魚の選別など、多様な活用方法の可能性も模索されています。
このように、廃棄物処理のDX(デジタルトランスフォーメーション)の進行に伴い、遊びながら社会貢献を果たす新しいスタイルのゲームが登場しています。社交的かつ教育的な要素を持つ『Eco Catcher Battle』は、今後のエンターテインメント業界のモデルの一つとなることでしょう。
企業の支援と今後の展望
今回のプロジェクトは、ジェトロの「対内直接投資促進事業費補助金」にも採択されており、外国企業と日本企業が連携して行う技術革新への期待が高まります。廃棄物処理の業務支援ツールとしての実用性はもちろんのこと、デジタルの力で実社会の課題解決に挑む姿勢が光る取り組みです。今後はさらに利用者層の拡大や機能追加を見込んで、ゲームの可能性を広げていくでしょう。
『Eco Catcher Battle』は、楽しく遊びながら社会問題に貢献できる新たな試みとして、これからの未来を担う可能性を秘めています。関心がある方は、ぜひ注目してみてください。