建物保全業務のデジタルトランスフォーメーションへ向けた一歩
シリコンバレーのスタートアップ、MODE, Inc.(本社:米国カリフォルニア州)が、日本の株式会社日立リアルエステートパートナーズ(東京都千代田区)と共同で、建物保全業務をデジタル化するための実証実験を開始しました。この取り組みは、現場の作業効率化とデータ活用の推進を目指すものです。
1. 実証実験の背景
現在、建物保全業務は主に人手による巡回点検が行われており、データ記録も手動で進められています。多くの業務が紙やタブレットへの手入力によって行われ、記録のためのリソースがかかる一方で、情報がリアルタイムで活用されることは少なく、予兆分析などの次のステップへの活用も難しい状況です。特に障害が発生した際には、現場外からの迅速な支援が求められながらも、これが実現できていないのが現状です。
2. 実証実験の概要
この実証実験では、アナログメーターの自動読み取り、デジタルデータ化を含む点検業務の効率化を図ります。主な取り組み内容は次の通りです:
- - AIカメラによるアナログメーターの自動読み取り:特定の機器のメーター値を自動でデジタル化し、業務報告の手間を減らします。
- - BizStackによるデータ一元管理:データの集約を行い、業務の記録と報告作業の効率化を実現。“BizStack Assistant”との対話機能でデータの簡易検索も可能にします。
- - 遠隔監視の導入:主に業務アシスタントを使用して、遠隔地からも作業状況を確認し、支援する枠組みを構築します。
この実証実験の期間は2025年10月から12月末までの予定となっており、現場作業を軽減し、より効率的な保守管理が可能となることを目指しています。
3. 今後の展望とビジョン
この実証実験を通じて、建物保全業務全体のデジタル化が進むことが期待されています。具体的には以下のような進化を見据えています:
- - IoTによる常時監視:常に建物や設備の状態を把握できるシステムを構築します。
- - 検針業務の自動化:点検の手間が軽減され、人的リソースをより効率的に活用できるようになります。
- - AIによる保全データの分析:一元管理されたデータをもとに、特異な傾向をAIが見出し、的確な保全判断を促進します。
- - 現場外からのリアルタイム支援:制度化された運用基盤により、複数の現場を同時に把握し運用することができます。
これにより、迅速なトラブル対応が実現し、AIアシスタントが初動対応を支援することで、さらなる業務効率が見込まれます。
4. BizStackの概念
「BizStack」は、現場から取得したリアルタイムデータを一元化し、業務の効率化を図るための次世代データ統合ソリューションです。建設業、製造業、物流業など、様々なデータを統合し、IoTデータや既存の業務システムからリアルタイム情報を収集します。
5. MODEの企業理念
MODEは現場データの統合に特化したソリューションを提供し、業務のデジタル化を推進しているスタートアップ企業です。その理念は、デジタル技術と現場の理解をバランスよく活用し、人手不足や業務の属人化といった現場が抱える課題を解決することにあります。
将来的な建物保全業務の進化に向けて、MODEと日立リアルエステートパートナーズの取り組みは、非常に注目されています。