LENZの革新技術で進化する音響マイクの未来
2020年12月に設立されたスタートアップ「LENZ」は、東京都立大学での音響レンズ技術を基に、ノイズキャンセリングマイクの開発に取り組んでいます。LENZは、音を収束・発散させる特殊な構造を持つ「音響レンズ」を用い、そのメカニズムを活用して物理的にノイズをキャンセルするマイクの研究を進めています。
LENZの音響レンズ技術
音響レンズは、光学レンズが光を扱うのと同様に、音を特定の方向に集中させることができる技術です。LENZは、この技術を用いて、3Dプリンターでしか実現できない音響レンズを独自に開発し、物理的なノイズキャンセリング機能を持つマイクのプロトタイプを完成させました。これによって、騒音環境でも高い音認識精度を実現すると同時に、さらなる機能強化と商用化を目指しています。
プレシード資金調達の成功
最近、LENZはJ-KISS型新株予約権によるプレシードラウンドで2,000万円の資金調達を実施しました。この資金は、特許戦略の強化と研究開発体制の充実に使用される予定です。また、音響メーカーや騒音に関連する企業との連携も模索しており、実用化に向けた具体的なステップを踏んでいます。
マイクがもたらす音響革新
LENZの物理ノイズキャンセリングマイクは、特定の音を増幅し、それ以外の音を減衰させる特性があります。この技術により、従来のマイクや最近のAIノイズキャンセリング技術と組み合わせることで、さらなる性能向上が期待されます。実験によれば、数dB〜数十dBのノイズキャンセリング効果が確認されており、特に騒音環境下における音声認識の精度を高めることができるとされています。
多様な応用可能性
LENZの開発したマイクは、空港や工事現場、テレワークの環境など、様々な騒音に対処するために活用可能です。また、ハイエンド放送機器や自動車、街中での音声認識デバイスにも応用が見込まれています。LENZは、高速道路の緊急インターホンに対する応用のPoCを開始しており、今後も音響メーカーとの協業を進めることが予定されています。
LENZの未来へのビジョン
代表取締役の青木孝裕氏は、音響レンズ技術を継承し、事業の実現可能性を感じてLENZを設立したと語ります。特に、3Dプリンター技術の進化が重なり、競合他社には真似のできない独自性を持った技術を確立できると強調しました。
青木氏は、今回調達した資金を活用し、1日でも早く『物理ノイズキャンセリングマイク』を実用化することで、騒音に関する企業の悩みを解消し、音声認識デバイスの進化に貢献したいと考えています。
会社情報
株式会社レンズは、東京都千代田区に拠点を置き、代表取締役の青木孝裕氏が率いる会社です。音響技術の研究開発及び商用化を進めるスタートアップとして、今後の成長が期待されます。
詳細は公式ウェブサイト(
LENZ公式サイト)をご覧ください。