Web3型IoT統合ソリューションの実証段階が順調に完了
2025年9月12日、株式会社CAICA DIGITALとその子会社であるネクスは、共に推進しているWeb3型IoT統合ソリューション構想におけるPoC(概念実証)フェーズ1の完了を発表しました。このプロジェクトの目的は、次世代のM2M/MECプラットフォームを構築することです。
フェーズ1の成果について
本実証は、様々な技術を組み合わせて実施されました。特に、AWS Wavelength、NGINX、Node-RED、AWS IoT Core、DynamoDBを利用したM2M/MEC基盤とネクスが製造したOBDⅡデバイスを用いて、リアルタイム通信の安定性を確認しました。具体的には、OBDⅡデバイスを車両に取り付け、LTE通信を通じてMECサーバーであるAWS Wavelengthにセンサーデータを送信しました。Node-REDを介てリアルタイムでデータを処理し、AWS IoT CoreのルールエンジンによってDynamoDBにデータを格納するという一連のプロセスが正常に動作したことが確認されました。
データ処理の速さも印象的で、MECサーバーでの受信からデータ書き込みまでの時間は平均0.1秒と、優れた即時性を示しています。さらに、速度超過(40km/h以上)の検知時にはSlackへ自動的に通知するアラート機能も正常に作動し、IoTデバイスからクラウド・通知基盤へのスムーズな連携を実証しました。
技術的な知見
この実証から得られた知見は多岐にわたります。例えばNode-REDは、高い柔軟性を持つローコードの開発環境で、処理ルールやデータ変換の変更が非常に容易であり、MQTT通信との親和性も高いことが確認され、迅速なIoT開発において非常に有効なプラットフォームであることが明らかになりました。
一方、AWS Wavelengthは閉域網で構築されており、特定の運用管理が必要であることも分かりました。ネクス製品については、位置情報の正確性や、車両に差し込んでからすぐに通信が開始できる設計が高く評価されました。
次のステップへ
フェーズ1では速度データを主に使用しましたが、今後は車両の稼働情報や位置情報、センサー値など様々なデータを取得できる可能性が期待されています。フェーズ2は11月に開始予定で、5G RedCapへの移行や通信プロトコルをHTTPからMQTTに変更するなど、さらなる技術的ステップが踏まれる予定です。
このように、CAICA DIGITALとネクスは、Web3技術を利用したIoTの未来を切り開く企業として、今後も革新的な取り組みを続けていきます。特に、分散型ID(DID)、eSIM対応、センサーモジュール化を進めるフェーズ3では、実運用を見すえた商用化に向けた展開が期待されています。これにより、スマートシティやMaaS、無人店舗、工場自動化など、多岐にわたる領域への進展が見込まれています。
このフェーズ1の成功により、両社の開発体制が実際に機能することが確認され、新たなM2M通信市場への足掛かりが築かれました。今後も、技術開発と企業価値の向上を目指し、引き続き取り組みを行っていく方針です。