大阪・関西万博でAEDチームが目指す心臓突然死ゼロ
2025年に開催される「EXPO2025大阪・関西万博」で、心臓突然死をゼロに近づけるための新たなプロジェクトが始動します。公益財団法人日本AED財団が主導し、複数の企業と協力して構成されたAEDチームが、万博会場でのAED設置とそれに伴う講習、救命支援システムの実現に向け邁進しています。
日本AED財団は、東京都千代田区に本拠を置く非営利団体で、AEDの普及とその使用促進を目的としています。AEDとは自動体外式除細動器の略で、心停止が発生した際に迅速に電気ショックを提供し、命を救う重要な医療機器です。
AEDの重要性と課題
AEDの設置が広まる中で、多くの人々がその存在を知っていますが、実際に心停止の現場でAEDが使用される確率は依然として低いのが現状です。過去の調査によると、倒れた人に対しAEDが使用されるのはわずか5%にとどまっています。これは、AEDの存在が知られていても、救命処置の迅速な実施が難しいことを示唆しています。
2005年に名古屋で行われた愛知万博では、当時あまり知られていなかったAEDが多数設置され、実際に4名の命が救われたケースがありました。この成功体験は、AEDの重要性を世に広める大きなきっかけとなりました。
EXPO2025での取り組み
AEDチームは、万博会場でのAED本体や、屋外に設置するためのAEDBOX、さらに救命テントと呼ばれる専用エリアを設置します。具体的には、モバイル型のAEDも配備し、緊急時の運搬支援体制を整えます。
スタッフがこれらの装置の使用法を学べるように、AEDのオンライン講習会も提供します。また、英語版のアプリ「Liv for All」を通じて、外国人観光客にも対応できる体制を整えます。
さらに、AEDの運搬支援システム「AED GO」を活用し、スマートフォンアプリを用いて心停止の発生現場にAEDを迅速に届ける計画も進んでいます。このシステムは、119番への通報を受けた司令官が現場近くのボランティアに心停止の場所と最寄りのAED情報を即座に通知するものです。
安全で安心な万博を目指して
今回のような取り組みを通じて、数多くの来場者が安心して万博に参加できる環境づくりを進めていきます。AEDチームは、命を守るための迅速な対応を可能にし、万博に関わるすべての人々が安全に楽しむことができるイベントの実現を目指しています。
営利法人やボランティアの力を借りたこの活動が、今後の大規模イベントでの安全管理モデルとなることを期待しています。私たちの生活の中で、心臓突然死を防ぐための意識が高まるきっかけづくりの一環でもあります。
さあ、万博での新しい命を守る試みを一緒に支えていきましょう。