概要
東洋エンジニアリング株式会社(以下、TOYO)は、タイでのエタノール由来のバイオエチレン製造設備の基本設計業務を受注したことを発表しました。このプロジェクトは、ブラジルのBraskem S.A.とタイのSCG Chemicals Public Company Limitedが共同で設立したBraskem Siam Company Limited(ブラスケム・サイアム)との協業によって実現します。この設備は、再生可能な原料から作られるバイオポリエチレンの製造を目的としており、サステナブルな製品の展開に寄与することが期待されています。
背景
近年、環境への配慮からバイオ素材の需要が高まっています。特に、石油由来の原料から脱却し、サトウキビ由来エタノールなどの再生可能な資源を使用したプラスチック製品の製造が注目されております。TOYOの受注したプロジェクトは、その一環として位置づけられ、持続可能な社会の実現に向けた重要な一歩となることでしょう。
FEED(前工程設計)業務とは
TOYOが受注したFEEDは、プロジェクトの最終投資決定(FID)を行うための基本設計業務です。この業務を通じて、技術的な詳細を明確にし、プロジェクトの実行可能性を高めていきます。エタノールからエチレンを製造するプロセスには、Lummus社とBraskem社がライセンスを持つEtE EverGreen™が適用される予定です。この技術は、製品のカーボンフットプリントを大幅に削減することが期待されており、特にプラスチック消費材の脱炭素化に寄与することが期待されています。
生産するバイオポリエチレンについて
今回のプロジェクトで製造されるI’m green™バイオポリエチレンは、エタノールから作られるもので、従来の化石原料に代わるものとして位置づけられます。このバイオポリエチレンは、食品包装や家庭用品、さらにはおもちゃなど、さまざまな用途に使用される見込みで、そのサステナビリティにより企業のネットゼロ目標達成に向けた一助となることでしょう。
TOYOの強み
TOYOは、タイにおけるエチレンプラント建設の豊富な経験を有しており、これにより今回のプロジェクト受注に至りました。プラントエンジニアリング事業における長年の知見を活かして、石油化学分野での成長を牽引するとともに、カーボンニュートラル社会を実現するための取り組みを進めていきます。回収したCO₂を利用することで、大気からの温室効果ガス排出削減にも寄与することが期待されます。品質とイノベーションを重視するTOYOの取り組みが、急成長する東南アジア市場でのさらなる発展に貢献するでしょう。
今後の展望
このバイオエチレン製造設備は、タイのラヨーン州マプタプットに建設され、年産約20万トンの能力を持つ予定です。完了は2025年を予定しており、持続可能なプラスチック製品の製造が行われることになります。TOYOは、今後もエコロジーに配慮した技術開発に力を入れ、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを進めていくことでしょう。これにより、次世代のエコ製品を普及させ、環境保護に寄与する役割を果たすことが期待されます。