静岡県のTL Genomics、がん再発モニタリング技術の実用化へ資金調達
株式会社TL Genomicsは、静岡県のスタートアップ支援制度のサポートを受け、ファンド支援とVC出資を通じて、エンジニアリングが進める骨髄移植後のがん再発モニタリング技術の実現に向けた資金調達を完了しました。新興企業の成長が期待される中、特に重要視されるのが、骨髄移植を受けた患者の不安解消への貢献です。
研究背景
日本では、年間約3500件の骨髄移植が行われ、特に血液がん患者にとって再発の不安は深刻です。再発を早期に発見するためには、がん細胞の濃度を測定し、キメリズム検査が必須とされています。しかし現時点では、保険適用の体外診断薬が存在していないため、患者は高額の自己負担や検査方法の限界に苦しむことになります。
現在の検査法の問題点
現行の異性間FISH法は、検査可能な条件が限られ、同性間では使用できないなどの制約があります。また、STR-PCR法は保険適用外であり、高額な費用がかかる割に感度が低く、早期の再発を見逃すリスクも存在します。そのため、従来の検査方法では患者の不安を解消することが難しい状況です。
新たな技術の導入
TL Genomicsが提案する「InDel-dPCR法」は、大阪大学と共同で開発され、臨床研究でその効果が証明されています。この技術は、従来の検査法に比べて10倍の検出感度を実現しており、わずか0.5%のがん細胞も検出可能です。また、海外製の類似製品に比べてコストは約1/20に抑えることができ、国内市場への導入が現実味を帯びています。これにより、あらゆる患者に対して、適用範囲を問わず利用できる診断キットの提供が可能となります。
未来に向けての展望
資金調達は、静岡県が実施する「ファンドサポート事業」からの支援により実現しました。TL Genomicsは、2026年までに静岡県内にIVD製造拠点を設立する計画を進めており、地域と連携して新たな拠点を構築することが期待されています。更に、保険適用を目指し、2027年には申請を予定し、2028年には製品の上市を目指しています。
この新技術の開発により、患者はより早期に安心して治療を受けられるようになり、未来の医療に新たな道が開かれることでしょう。
会社概要
TL Genomicsは、2015年に設立され、骨髄移植に関する検査および診断薬の開発を行っている企業です。代表の久保知大は地域との関わりを強化し、医療の新たなスタンダードを創造しようとしています。今後の展開が大変楽しみです。