EV・AI時代への適応について
2025年12月、関東工業自動車大学校が実施したアンケート調査によって、EV(電気自動車)やAI技術の普及が自動車整備士にとってどのような影響を与えるか、保護者の意識が浮き彫りになりました。調査結果から、特に中学1年生から高校3年生までの子供を持つ保護者を対象に、自動車整備士への興味や将来性についての現状を探ります。
子どもの自動車技術への興味
調査によると、子どもたちの自動車技術への関心はバラつきが見られ、「とても興味がある」と答えたのは8.2%、「興味がある」が17.3%と低めでした。一方で、「少し興味がある」とする回答が30.0%、「あまり興味がない」との回答が35.5%に達し、無関心層は1桁に留まったことから、一定の関心は存在することが浮かび上がります。ただし、その関心が強いものではないため、より深い興味を引き出す仕掛けが必要です。
自動車整備士の将来性
保護者たちの選択肢として、自動車整備士の需要にどれだけ期待しているかを問うた結果、「需要がさらに増えると思う」との意見は35.5%、「専門性は高まるが需要は現状維持」が48.2%と大半を占めました。このことは、3500億円規模の産業である整備業界が依然として価値を持つと評価されているからです。それでも、「整備士が不要になる」と捉えている人は少ないことが示されています。
特に注目したいのは、EVやAIの普及によって仕事の内容が変わるであろうという認識です。従来型の手作業が減少する一方で、専門的な知識や高度な判断力が求められる場面が増加するとの見解が広まっています。
整備士に持たれるイメージ
調査では、自動車整備士に対して「専門性が高い」という回答が72.7%で最も多く、「体力が必要そう」という意見が57.3%を占めました。技術革新が進む中で、整備士という職業は「難しい」職業と捉えられる一方で、「収入が安定しそう」や「将来性がある」といった見方はあまり広がっていません。このように、「難しさ」や「専門性」に対して高い評価が寄せられているものの、それによるキャリアの明確なビジョンが少なく、魅力として伝わりにくい現状があります。
必要とされる新しいスキル
今後特に求められるスキルとして「電気・電子の知識」が81.8%、「AI・自動運転技術の理解」が72.7%と高い割合を示しており、整備士像が従来の機械整備から大きくシフトしていることが伺えます。「従来のエンジン整備」を挙げた人は20.0%とわずかであり、将来的に整備士として働くには新たな技術理解が求められる時代であると認識されていることがわかりました。
整備士という職業への魅力
最も多くの保護者が「魅力的」と感じているのは46.4%で、対照的に「どちらともいえない」との回答も36.4%と高い割合を占めています。この状況は、整備士という職業に対し積極的な支持がある一方で、まだまだその魅力が十分に伝わっていないことが原因と考えられます。
調査結果の総括
今回の調査から、自動車整備士という職業の価値が認識されているにもかかわらず、進路選択において消極的な動きが見受けられました。技術革新の進展に伴い、どのように整備士としての未来像を描くことができるのかがカギであり、今後の整備士カリキュラムや教育方針において、専門性向上とその価値をいかに効果的に伝えるかが重要と言えます。この職業の可能性を考え直すことが、選択肢を広げるための一助となるでしょう。