竹中工務店、NTTドコモビジネス、アスラテックが手がけた新技術
建設業界における人手不足が叫ばれる中、竹中工務店、NTTドコモビジネス株式会社、アスラテック株式会社の3社は、空間IDを利用した革新的なロボット運用システムを開発しました。このシステム、「ロボットナビゲーションシステム」は、建設現場の効率性を向上させるだけではなく、安全性や作業環境の改善にも寄与します。
1. 開発の背景
建設業界では、労働力不足に加え、安全性を確保するための人材育成に多くのコストを必要としています。ロボットが作業を代替することにより、これらの課題を解決することが期待されています。しかし、実際の建設現場では、屋内外の移動や3次元的な移動が困難であるなど、ロボットを自律的に運用するための課題が数多く存在していました。そこで、3社は2022年から、空間IDを活用したシステムの開発に着手しました。実証実験には、ボストンダイナミクス社が開発した四足歩行ロボット「スポット」が用いられています。
2.「ロボットナビゲーションシステム」の特長
空間IDを基にした「ロボットナビゲーションシステム」は、NTTドコモビジネスの「tateras作業間調整」と連携し、建設現場のリアルタイムデータをもとに高精度なルート設定を行います。この連携により、現場の状況に応じた柔軟なロボットの運用が可能になり、作業の効率化やコスト削減が実現しています。
特に、「tateras作業間調整」は現場の情報を可視化し、項目ごとの調整業務を軽減します。また、空間IDを利用して、ロボットの移動ルートをスムーズに設定できるため、多様な建設環境に適応可能です。
実証実験では、本システムを導入することで、現場職員の確認作業に要する時間を約30%削減することに成功しました。また、システム開発コストも約30%の削減が実現できたといいます。
3. 各社の役割と今後の展望
このプロジェクトでは、竹中工務店がナレッジや実証の場を提供し、NTTドコモビジネスはシステム間の統合機能を開発しました。アスラテックはロボットそのものの機能に特化した開発を行っています。
今後は、2027年の実用化を目指し、これまでの実証実験で得られた課題をロボット性能やシステムの改善を通じて解決していく見込みです。労働時間の削減だけでなく、デジタルツイン技術を活用した建物設計や運用の効率化も進められていくでしょう。
建設業界でのロボット運用は近い将来、一般的なものになる可能性があります。この技術革新は、より良い作業環境を創出するための一歩となるかもしれません。今後の進展から目が離せません。