保育環境を見える化する新たなAI技術の導入に向けた研究が始動
近年、保育・幼児教育分野にはAI技術の導入が期待されています。このたび、株式会社ネクストビートが運営する「保育士バンク!」と、東京大学と筑波大学発のスタートアップ企業エフバイタル社が共同で行った調査により、AI技術の活用が子どもたちの成長をどのように支援できるかが明らかになりました。この調査は、2023年10月から2024年4月にかけて実施され、乳幼児の保護者や保育者を対象に行われています。
調査の背景と目的
調査の目的は、保育士や保護者の意識と実態を把握し、現場で必要とされるAI技術の機能を明確にすることです。特に、エフバイタル社が開発しているAIによる「動画解析」および「個別レポート」サービスのニーズを洗い出すことに焦点を当てています。これにより、保育士や保護者が求める情報提供の形を明らかにし、サービスをより適切に設計していきます。
調査の実施方法
調査はウェブアンケートとデプスインタビューを用いて行われ、ウェブアンケートには、278名の保護者と63名の保育者が参加しました。さらに、保護者13名と保育者8名に対して深いインタビューを実施し、実際の意見や希望を集めました。
AI技術がもたらす可能性
調査結果によると、AI技術による「動画解析」と「個別レポート」の導入は、保育士や保護者の両方から期待されています。具体的には、保育士にとっては反復的な作業の軽減が重要なニーズとなっており、成長を数値化および可視化することが求められています。これにより、保育の質が向上し、子どもたちの個性や成長をより的確に把握できるようになると言えます。
一方で保護者も、子どもの発達特性を知り、個々の特性に応じた育児を行うためのツールとしてAI技術を歓迎しています。特に、日の活動の中での子どもたちの様子を動画で確認できれば、家庭でのサポートもより適切になるとの期待が寄せられています。
保育士の声
保育士たちからのフィードバックとして、「記録作成の負担が軽減されることで、より子どもに向き合う時間が増える」との意見が聞かれます。AIによって得られた情報は、人数が多い園でのグループ編成に役立てられるとの見解もあり、具体的なメリットが示されています。
保護者の声
保護者からは、子どもたちの社会性を育むための相性判定に対する期待が高まり、「子どもの発達状況を把握し、個性・才能を発見することができるのは嬉しい」との声もありました。特に、子どもがどのように友人と関わり、どんな時に不安を抱えるのかを知る手助けになると考えています。
今後の展望
このような調査結果を基に、エフバイタル社と株式会社ネクストビートは、保育現場におけるAI技術の活用をさらに推進していく意向です。最終的には、AI技術によって子どもの成長がより可視化され、保護者や保育士にとっての新たなサポートツールとなることが期待されています。私たちは、これからの保育業界がどのように変わっていくのかを注視していきたいと思います。